Vol.37「南アフリカ最後の秘境ウムフォロジー」

⑮ヌクセバ・リッジ

 ここの地名、ヌクセバの意味を聞くのを忘れてしまったのは残念なことでした。リッジとは、山の背のことです。私は、一人であたりを見回す岩の上に立ちました。はるか南の草原にウムフォロジー川の白流と黒流の合流点が見えます。あとは、数10㎞も彼方まで広がる大草原。考えてみると、今、立っている、この場所、ここへ私は来たかったのです。

 ここに、宝物があったわけではありません。いや、何もない、と言ってもいいかも知れません。あるのは、無限に広がるアフリカの大自然なのです。長い間の念願がかなって、私は今、満ち足りた気分に包まれています。

 

               ングェバ の丘