私(母)


私は、息子が生まれて半年ほどで

離婚した。母子家庭スタートだ。

さぁ、これから頑張っていこう。

何をどう頑張ればいいのかわからないけど、手探りでやって行こう。


そんな離婚したばかりの時

ある女性が

「今はまだお子さんが赤ちゃんだからわからないけど、

もう少し大きくなってお子さんと遊びに出かけて、そこで両親揃った親子連れを見れば淋しい思いするわよ」

と言う。

出鼻くじかれた気持ち。

両親揃った親子連れを見て、息子と私のどちらが淋しい思いするんだろう?両方ともか?

頭の中でぼんやり しょんぼり下を向く親子のシルエットが浮かんだ。

私はまだ親になったばかりだけど、息子が淋しい思いをするのはたまらないなぁと感じた。

私が離婚したから、息子は淋しい子ども時代を送ることは決まったのか…


結果、全然そんなことなかった。

子どもの息子と出かけた先には、両親揃った親子連れも母子家庭も父子家庭もいっぱいいた。

そりゃそうだよね、家族の数だけ

家族の形があるんだもんね。

日本より外国では、父子家庭もたくさんいるんだなぁと思ったくらい様々だった。

両親揃っていようが

母子家庭だろうが、楽しそうにしているのを目の当たりにして微笑ましかった。

淋しいなんて一度も

かけらほども思わなかった。


同じ境遇からなのか、母子家庭らしき親子連れが自然に無意識に多く目に入った。よく仲良くなった、母親同士も子供たちも。

息子はそんな時、嬉しさ 楽しさで高まってなのか

ほっぺたが薄い桃色に染まる。

息子の桃色に染まったほっぺたは

私をも嬉しくさせる。

そんな息子の子ども時代だった。

「淋しい思いをするわよ」

と忠告されていたことも

そう言えば忘れてた。

母子家庭、上等だった。

子ども時代の息子と出かけた先では

高価な時間しかなかった。

淋しさの入る隙はなかったな。


離婚したばかりの頃

そんなこと聞いて

ずっしり重い暗い気持ちになって

見えない先に不安を抱いたりして

損しちゃった。