私(母)


香港の端っこにあるホテルは

息子の好きなホテル。


息子とホテルを出て

ぶらぶらと気楽に散歩。

ホテルを出てからどれくらい

歩いたかわからないけど、

ゴミがそのあたりに落ちていて

きれいではない通りになってきた。

そこにひたすら臭い通りがあった。

息子は「俺ダメ、無理、吐きそう」

とその臭い通りには行かず、

横に曲がって行った。

私は真っ直ぐ臭い通りへ

入って行った。


なにが臭いのかわからない。

魚屋の前を通ると普通に魚屋の

匂いがするから、

魚屋のせいじゃない。

臭豆腐をどこかで作っているのか?

なにかが腐っているのか?

とにかく息を止めたくなる

強烈な臭い。

歩いていると、歩道までなだれた

潰れかけてる段ボールや

袋詰めされた物があふれてる

倉庫かごみ収集所のような

問屋っぽい所があった。

入っていいのかわからないから、

まず歩道の段ボールを開けてみた。

ゴミ袋のような袋も開けた。

物色を始めた。

物色をしながら店の中のおばさんを見たら、勝手にやりなって感じ。

だから派手に段ボール 袋を開けて、見た物 見てない物を、

見やすく置き場も変えて

物色をした。物色天国。

その中から今私が使っているお茶碗を見つけた。

お茶碗を手に持ちながら物色を続けていたら、店の中のおばさんが出てきて店内へおいでと手招きする。

入ると、おばさんはお茶碗と同じ柄の平皿を指してきた。

私は店内でも物色を始めた。

こういうの好き。


お茶碗3個 平皿2枚

買うことにした。

広東語の話せるわけない私に

おばさんは電卓で

数字を示してきた。

私はそれより低く数字を

入れ直して値切った。

そんなことをしていたら

ホテルへ戻ったかなと思っていた

息子が店の前を通ったから

「これ買ったら帰るから

一緒に帰ろう」と声をかけた。

息子の前で、おばさんと私の

商談成立。

お金を払おうとしたら

息子が私の手を制してきた。

そして息子は電卓の数字を

更に低くした。

おばさんはすぐに

元の数字に戻した。

おばさん、息子、私の無言の時間がしばらく続いた。

おばさんが広東語でなんか話し始めたけど息子は無視。

結局おばさんは電卓の数字を入れ直した。息子が示した数字だった。

息子は無言で値切ってくれた。

お茶碗3個 平皿2枚

日本円で100円程になった😜


息子が香港と

香港の端っこにあるホテルを

気に入ったから

何度か香港へ息子と行って、

香港の隅っこの同じホテルに泊まった。


息子が「変わっていくね」と

つぶやいた。

イギリス色から中国色に

変わって行く様も見た、感じた。


この時息子が値切ってくれた

私のお茶碗は

ヒビが入ってるから捨てる。

捨てる今

思い出す

楽しかったことを。


多謝❗