私(母)


脳腫瘍とわかり滋賀のアパートを引き払い、我が家へ戻った息子の荷物の中に小麦粉3袋あった。

サーモンソテーの好きな息子。

サーモンを買う時、小麦粉もその都度買ったんでしょ。3袋全てが開封されてる。


捨てるのはもったいなくて、私は小麦粉を使う料理を作りまくった。グルテンフリーなんて関係ない!

チヂミ ソースベシャメル 天ぷら ドーナツ🍩

よく作ったのが、手軽なシフォンケーキ。

小麦粉消費することに

燃えてる私はシフォンケーキを焼き、知人や母にもらってもらった。

そのうちに飲食店を営む知人から

「またシフォンケーキお願いしたい」と言ってもらえるようになった。

そう言ってもらえることも、小麦粉が減っていくことも嬉しかった。

また何個も作って、知人へ渡した。


息子が治療を終えて東久留米で一人暮らしを始めても、不安や心配が無くなるわけじゃない。

どこか重い気持ちで、ふわふわ甘いお菓子を焼いてるのはおかしいな、

こういうの自分に似合わないなぁと矛盾も感じた。柄じゃないし。

でも小麦粉消費だ!

今では、その知人から定期的にシフォンケーキを頼まれて焼いている。

小麦粉消費も出来た。

そして今はもう小麦粉ではなく米粉でシフォンケーキを作ってる。



これから型から外す。
私は作るより、生地を外した後の片付けが好き。
息子の小麦粉を片付ける為焼き始めたシフォンケーキ。
私は後片付けが好きなんだと思う。
あの時、暗い気持ちでやる気なくても小麦粉を捨てなくてよかった。
小麦粉からお小遣い稼ぎが出来るようになった。
こんな小麦粉の結末、嬉しい。