母語は何だろう? | [ボルネオ猫町] クチンあれこれ

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東マレーシア・ボルネオ島はサラワクの州都クチン、Cat Cityで日本語を学ぶ人たちのブログです。

みなさん、あなたの母語は何ですか?日本人は日本語を、中国人は中国語を母語として話します。でも、私には母語がありません。外国人は言うかも知れません。「えー! マレーシア人は母語がないの? 冗談でしょう?」 しかし、それは本当のことです。

隣の国シンガポールを例に考えてみましょう。シンガポールは80%の人が中華系です。シンガポール語は彼らが作った言語です。彼らの言語は英語と中国語が混じり合った言語です。確かに英語を話すけれど、発音と文法は完全に中国語です。

たとえば、「A: :wei 妈妈, afterward buy me chocolate can bo? B: Aiyo cannot lah, very expensive die. A: Walao, don’t want then say don’t want la. Pattern banyak banyak.」 日本語では、「ねえママ、このチョコレート買って」「駄目、高すぎる」「買いたくないなら、そう言ってよ! 嘘ばっかり」。これは発音も文法も間違っています。中国語や福建語やマレー語がごちゃ混ぜですから。西洋人にこんな英語を聞かせると、「何それ? 意味が分からん! 英語を勉強しなさい!」と言うことでしょう。

私は英語と中国語と福建語とマレー語ができます。でも、本当に出来る言葉がありません。私の家族はマレーシアの中華系です。私の父は興化人で、母は潮州人です。しかし、私は興化語も潮州語も全然喋れません。私の家では三つの言葉を話します。英語と中国語と福建語です。加えて、マレーシアの教育制度の問題があります。たとえば、私は小学校は中華学校に通っていました。授業ではほとんど中国語と英語しか使いませんでした。でも、中学校ではマレー語と英語しか使いませんでした。その学校では中国語が必修ではなくて、課外活動でやっていただけです。その結果、半分くらいの生徒は中国語をやめました。中国語は一生懸命勉強しなければ非常に理解しにくい言葉です。漢字だらけですから。英語はかなりよく理解できます。しかし、イギリス人のようなレベルではありません。アカデミックな英語は理解できないかもしれません。マレー語は普通に話すことが出来ますが、上手ではありません。私の生活の中ではマレー語はあまり使っていません。

マレーシアにいろいろな言語がある結果、マレーシアの言語教育は混乱しています。しかし、マレーシア人には利点もあります。マレーシア人とって外国語の言語を勉強するのは非常にやさしいです。私の例をあげると、自分は中国語や英語やマレー語の経験があります。だから、漢字がわかり、英語やさまざまな言語の発音ができます。ただ、マレーシア人の苦手なことは文法の理解です。一方で、積極的にいろいろな外国語を身に着けることができます。私たちは小さい頃からさまざまな異文化を受け入れてきましたから、マレーシア人は新しい言語を勉強するとき、日本人よりうまく対応できます。

どんな言葉を勉強する時でも、最後に必要なのは勇気と意志です。強い意志があれば、不可能なことも可能になるでしょう。

(林高盛)