白き狼の助け | この美しき瑞穂の国

白き狼の助け

日本武尊(やまとたけのみこと※「やまとたける」は間違い。正しくは「やまとたけ」)は山で災難に遭った際にしばしばヤマイヌに助けられている。



そんな伝説を紹介しよう。


まず1つ目の伝説。信濃国の碓氷峠で日本武尊が空腹を覚えて山頂付近で食事を摂ったところ、山の荒神が白い鹿に化けて尊に近づいてきた。しかし尊はこの鹿を怪しみ、試みに食べていた野蒜を放ったところ鹿の目に当たり荒神は死んだ。すると途端に濃霧が山を覆って道がわからなくなってしまったが、そこへ白い犬が現れて尊一行を道案内してくれたので無事に美濃へ抜けることが出来たという。



2つ目の伝説。日本武尊が秩父地方の宝登山(ほどさん)を登っていたら山火事に遭い、絶体絶命のピンチの時にどこからか白い犬と黒い犬が現れて火を消し、尊一行を護ったという。尊はこの犬たちを神の使いと考え、この山を火止山(ほどさん)と名付けた。そして後世に火止山を宝登山と改めたのである。



3つ目の伝説。日本武尊は秩父地方の三峯山に登り、伊弉諾尊(いさなぎのみこと)と伊奘冉尊(いさなみのみこと)をお祀りしたが、この時の道案内をしたのがヤマイヌだったため三峯神社ではヤマイヌが大口真神(おおぐちまがみ)として祀られている。



4つ目の伝説。道に迷った際に道案内をしてくれた白い狼に日本武尊は「災いを防ぎこの地を守護せよ」と命じたため、その言葉に従って白狼が留まった地が武蔵御嶽神社である。



僕はこの全ての地を訪れたことがある。余談だがある観える方曰く、僕のそばには映画ネバーエンディングストーリーに登場する龍・ファルコンのように毛がもふもふした白い霊犬が居るそうだ。



日本武尊が山でピンチになった際、尊を助けたヤマイヌはニホンオオカミだったと考えられている。



白い狼の助けというと漫画ゴールデンカムイでアイヌの少女アシリパさんと家族のように育ってきた白い狼レタラがしばしばアシリパさんのピンチの時に現れて助ける場面があるが、こういうことは実話としてもある。



外国である青年が登山をした際に罠に掛かったメスのオオカミを見つけたという。このオオカミの罠を外したかったが、近づくとオオカミが襲ってきそうな様子だったので困ったという。


このオオカミをよく見ると、どうやら乳飲み子がいる母親オオカミだと分かり、青年は近くにいる赤ちゃんオオカミを探して3匹の赤ちゃんを見つけたという。そして母親に近づけたところ、母親は3匹の赤ちゃんオオカミに乳をあげたという。



青年は母オオカミにもパンをあげて食べさせたが、初日はまだ警戒して触らせてくれなかったので近くにキャンプを張り、数日共に過ごしたところやっと母親が気を許してくれたので罠を外して助けたという。



それから4年後、青年が同じ山を登っていた時に熊に襲われ、木に登って逃げるも熊が木を登ろうとしてきて絶体絶命のピンチの時に4頭のオオカミが現れて熊を撃退してくれたという。青年はその4頭のオオカミが以前助けた母子であると分かったそうだ。オオカミは4年経っても自分を助けてくれた人の恩を忘れず恩返しをしてくれたのである。この話は実話である。



この実話然り、ゴールデンカムイのレタラ然り、オオカミは人が気づかないところから観ているのだ。そして恩のある人がピンチを陥るとどこからともなく現れて助けるのである。なんともカッコいい生き物ではないか。



そんなわけで近いうちに武蔵御嶽神社に再訪しようかな。白き狼が鎮まる武蔵御嶽神社に。