憧れの「文人学者」。 | 斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」

憧れの「文人学者」。

終日、雨模様の京都です。でも春っぽい、ぬるい雨です。

午後、事務的な仕事で大学に行って、そのあと、最近通っている鍼灸院に。

ここでも肩とかががちがち、と言われてしまいます。

 

鍼は、初めて体験。最初は、ちょっとチクッとしたりしますが、

たしかに「治療」のあとは、体が軽くなる感じですね。

 

鍼灸師の先生に、大学のセンセイって、いろいろとお忙しいんですね、

ただ研究だけしているのかと思っていた…、なんて言われてしまいました(笑)。

 

まぁ、僕はけっこう「ぶらぶら」暮らしている教員ですが、

それでもさすがに二月は、激務でしたね。

 

  20-1

 

富士川義之さんの『ある文人学者の肖像』を拾い読みしていたら、

結局最初から読み直すことに。あらためて面白い本です。

 

これからの自分とも繋がる、富士川英郎の「退職後」の生活。

 

午後の2時すぎから、2、3時間、鎌倉の町や山、海岸を散歩して、

途中は、お馴染みの喫茶店で休息して、好きな珈琲を一杯。

 

夜はビールの中瓶を一本。好きな食べ物は和食よりも洋食系。

とくにビーフシチューやオムレツが好物とか。

朝ごはんはオートミールにミルクと蜂蜜をかけて。

 

食後はテレビのニュースとかを見て、居間の炬燵で3、40分ほど仮眠して、

隔日で入浴し、そのあとは、深夜の3時、4時まで執筆と読書に耽っていた…。

なんか共感する生活です(笑)。

 

僕も、授業がないときは(あっても)、深夜の3時ごろまで執筆仕事や勉強読書、

そして寝る前の4時ごろまで、お楽しみ読書。ちょっとウイスキーとか飲みながら。

この生活パターンが、いちばん、調子がいいですね。

 

それにしても富士川英郎は、60歳の東大退職後に『菅茶山と頼山陽』、

『鴟鵂庵閑話(しきゅうあんかんわ)』、『儒者の随筆』などの江戸の漢詩人の研究、

一方では『黒い風琴』『鷗外雑志』などの日本近代文学、比較文学の著書を続々と出しているのは、ともかくすごいです。

 

そしてなによりも、そういう執筆仕事が、ほんとに楽しくてしかたがない、みたいな感じで淡々としていることですね。

 

息子の義之さんによれば、晩年の父はいつも微笑をただよわせ、

近所の人には、寅さんに出てくる「御前様」(笠智衆)のような雰囲気があるね、と言われていたそうです(笑)。

 

ということで、この本、いろいろと味わい深い。たしか、これは兵藤裕己さんに薦められて読んだのでは。兵藤さんが、この本好きなのは、なんかわかる気がします。

 

たしかにみんな、富士川英郎みたいな「文人学者」には憧れますね。