「世界鬼学会」のシンポジウムに出席 | 斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」

「世界鬼学会」のシンポジウムに出席

日曜日。朝の七時半の新幹線に乗って京都に戻り、福知山市の「日本の鬼交流博物館」で行われた「世界鬼学会」のシンポジウムに出席。



京都駅からは世界鬼学会の会長の八木透先生の車で現地まで送っていただきました。この日は妻も合流。



さて、大江山の酒呑童子伝説にちなむ、大江町にある博物館という、まさに鬼の本拠地での鬼シンポジウムです。



僕は「鬼払い儀礼と陰陽師・安倍晴明」と題した講演。平安期の追儺と陰陽道の関係、桃と鬼、祭文で説得される鬼、そして朝廷の停止命令を無視した晴明の追儺執行のエピソードなど。これも十八番ネタですね。

そして続いて、アンダソヴァ・マラルさんによる「中央アジアにおける(邪霊)」の研究発表。
最後は八木先生の司会で「日本人と鬼」と出した鼎談をして、フロアーからも質疑。



マラルさんの、はじめて古事記以外の題材とした発表を聞きました。そこでもシャーマニズムのことが中心となりましたが、最後に「アラジンと魔法のランプ」のことも出てきて、興味深い話題が続出でした。いずれ、こういう研究も古事記研究とリンクしていくと面白いですね。

あらためて中央アジアという視点からの「鬼」の問題は、仏教、イスラム教、キリスト教、在地の混交した信仰の形態など、広がりをもちそうです。


シンポジウムのあとは、懇親会。
福知山市で「地域起こし」の事業に携わっている方たちの話は、なかなかたいへんそうです。
また地元の「研究熱心」な方たちとわれわれ「研究者」との交流が大切、という話は、ほんとにそのとおりですね。こういうのも「民俗学」の実践ということでしょう。

世界鬼学会の会長を務められている八木先生は、そういう意味でも、民俗学の王道の研究者なのだと、あらためて再認識。

それにたいして、僕のやってきた「いざなぎ流」の研究は、村のなかの「変わりもの」の太夫さんたちとだけ交流した、異端の研究なのだということも再認識(笑)

鬼の博物館に、まえから来たがっていた妻は、今回の同行をたいそう喜んでました。ただ鬼さんとカピパラさんのツーショットの写真を撮り損ねたことを残念がっていました(笑)。


翌朝の、深い霧に包まれた風景は、なんとも幻想的です。