アルマ=タデマのこと | 斎藤英喜の 「ぶらぶら日記」

アルマ=タデマのこと

水曜日。
今日も年の瀬とは思えない、ぽかぽか陽気です。
書評原稿の執筆、続行。ほぼ脱稿の見通しが出来たところで、うまい具合にアマゾンで注文していた本が届きました。

日本で最初にアルマ=タデマのことを本格的に紹介した画集、『AlMA-TADEMA』

タデマは、ポンペイ遺跡とかの調査もして、徹底的に古代ギリシアやローマの建物、調度品とかにマニアックにこだわった画家。たしかにその精密さはすごい。





《ヘリオガバルスの薔薇》の渦巻く薔薇や
《青いイオニアの大気の下で》の白い大理石や青空とか、うっとりですね。


タデマは英国ヴィクトリア朝時代の絶頂期に大人気を博したそうですが、
帝国の没落とともに忘れられ、近代絵画史では、まったく取り上げられてこなかった。
「感傷的」「キッチュ」とか否定された過去も。

まさに「体制派」の画家ですが、たしかにその唯美的な画風というか、
享楽的な雰囲気とかは「反体制派」のラファエル前派の世界とも通じるものがあるのが面白いですね。バーン=ジョーンズは、けっこうタデマに影響されたらしいですから。


ただタデマの「古代趣味」にたいして、ラファエル前派のロセッティ、ジョーンズの「中世趣味」との違いは意味深かも。
もっともタデマの「古代」も、けっこう雑多なものが「習合」していくみたいなので、まさに「創造された古代」ですね。

ローレンス・アルマ=タデマ SIR LAWRENCE ALMA TADEMA

この画集、てっきり最近のものかと思っていたら、なんと1993年に「トレヴィル」から発行されたもの。
うちには、けっこうこの頃に刊行されたトレヴィルの画集があるのですが、タデマの画集も出ていたとは、見落としてました。(その存在は、妻がブログに貼り付けたことで知った…)






居間の椅子に立てかけてある、前面がバーン=ジョーンズ、
後ろになっているのがタデマの画集。「光あふれる一瞬」って感じですね(笑)

 Lawrence Alma-Tadema :