植村直己 北極点へ、ともに!




初めて体験する北極の寒さに、私は凍えた。
 197829日、2度目となるナショナル ジオグラフィック誌の取材のため、私は飛行機を乗り継いで、カナダ北部のレゾリュート・ベイ空港に降り立った。この地で私が追うのは、北極点への単独行を計画していた植村直己だ。成功すれば、北極点に単独で到達した最初の人間になる。北米大陸の北端から、氷に覆われた北極海を横切り、北極点に至るおよそ800キロの旅。その撮影を任されたことは誇らしかったが、責任の重さに少し怖い気もしていた。   私はニューヨーク市出身の27歳の写真家で、直己は37歳の日本のヒーローだった。世界初の五大陸最高峰登頂や犬ぞりでの北極圏12000キロ走破など、輝かしい冒険をいくつも成し遂げていた。しかし、本人に会ってまず驚いたのは、超人的ともいえるこのエクスプローラーが思いのほか小柄だったことだ。身長165センチの私とあまり変わらない。

地球の頂点で、植村直己は幸せそうに笑っていた。

 197835日、直己と17頭のそり犬、総重量400キロほどの装備、それに、私たち関係者を乗せた飛行機がアラートを飛び立ち、120キロほど北西にあるコロンビア岬の海岸に着陸した。北緯8306分、西経7102分、ここから直己の冒険が始まる。




 それはまさに心躍る瞬間だった。前人未到の冒険に旅立つ直己の晴れ姿をしっかり記録したいと心がはやっていたのだろう。ぬれた手袋を乾かすのも忘れて、出発準備をする直己を撮ろうと、待機用のテントを飛び出したのだ。たちまち手袋は凍り、手の指が凍傷を負った。まったく、初心者が犯すようなミスだ。痛みと水ぶくれは1週間ほどで治まったものの、37年がたった今でも、そのとき凍傷を負った指が冷えるたびにしびれる。この先も消えることのない、直己を追った日々の名残だ。

 429日、直己はついに北極点にたどり着いた。単独行としては、世界初の快挙だ。翌日、彼に会うため、私たちはツインオッター機で向かった。地球の頂点で、直己は幸せそうに笑っていた。あんなに幸せそうな人間を、私は見たことがない。犬たちもうれしそうだ。

 1984年にアラスカのマッキンリー山で行方不明になる瞬間まで、直己は冒険家として世界を探求し続けた。そして私は、直己から教わった強さと優しさを心に刻んで、写真家として世界を探求し続けている。

 文=アイラ・ブロック

ナショナルジオグラフィック20154月号で、植村直己の北極点単独行が掲載されているようです。植村直己は世界の冒険家として名を馳せた偉大なる人物でありますが、彼のように冒険に人生を賭けて素直に邁進した人も珍しいと思います。単独登攀で世界有数の山々に挑戦するにはかなりの勇気が必要ですが、同様に強靭な肉体と精神が備わっていなければ成功は成し得ないことでしょう。私にとっても憧れの植村直己であります。




さて、昨年とはまた様変わりな様相を呈して来ているこの業界です。また、一向に進展が無くなかなか実態も掴められない状態でもあります。依然と業界の体質が古いとは言え、ジワリジワリと訪れる不安は非常に心配になります。

本年はシラス漁が不漁で、昨年の数量の1/3程度で終わるのではないかと危惧している状況は理解出来ますが、いわゆる、談合状態と出し惜しみは、これだけ末端の消費が低迷した状態だけに残念に思います。ただ値段だけが先走り消費拡大を促す要因は自然増だけで有りますが、それでも今年の夏は、供給不足に成り得るのでしょうか。この業界、画策と思惑が混雑していますので噂と風評には注意ですね。