砂浜、また持ってかれたな。
千葉県屈指のサーフスポットとして知られる一宮海岸。
黒い砂と縦に伸びる堤防が印象的な、スポットだ。
防風林を抜けて海に出ると、砂浜の崖が待っている。
今日は久しぶりにマサト兄ぃが、僕のバディだ。
しかし、期待していた波はなく、紅葉の季節とあいまって、海は寂しさを感じさせる。
「今日は、砂をめぐる旅だな。」
ハンドルを切った車は、海とは反対の山へと、疾走する。
何の変哲もない小川、最近整備されたであろう、コンクリートの川岸が真新しい。
「砂は石や川岸が削られて、気の遠くなるような年月をかけて、小さな粒になる。
カナル、コンクリートが砂になるのは、何年かかる?」
僕はハッとした。
人の生活を守る為に整備された物が、自然の営みを変えている。
車は川を下り、河口へと向かう。
まるで砂が何年もかけて下ってきた道を、タイムスリップするかのように、車は駆け下りる。
「海に出た砂は、砂浜となる。当たり前だよな。」
見渡す限りの砂浜。。とはいかない。防風林から10mにも満たない狭いビーチ。
砂達はどこへいってしまったんだろう。
「日本の砂浜は消失の一途だ。海水面の上昇が一因と言われている。」
僕は行き場の無くなった砂を思い、絶滅に瀕する動物達と重ねた。
地球という自然の中で、人間はちっぽけな存在だ。そう海に教わった。
なのに、人間の営みが自然の流れを変えている。
声なき自然は、今も人間のすることをじっと静観しているに違いない。
僕にはその姿勢が、強烈なメッセージを放っているように思えた。
