Shangri La/Jake Bugg | Surf’s-Up

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Shangri La/Jake Bugg



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Jake Buggのセカンド。


ライブもバリバリやりながら、こうもあっさりとセカンドを完成させたことにも驚くが、これがロッキン・オンの2013年度ベストアルバムの1位!とは。そのナイスジャッジに拍手を送りたい。


聴く前から、1stの世界観が大きく変わることはないという確信があったが、世界観は変わっていなくてもスケール感はさらに大きくなっている。リック・ルービンがプロデュースするという事を知ったとき、UKトラディショナル・ロックの遺伝子が失われやしないかと、やや心配だったが、それは全くの杞憂。素晴らしいソングライティングはここでも全開。


オープニングThere's A Beast And We All Feed Itから、もう顔がにやけてしまう。そして間髪入れずに必殺ナンバーSlumville Sunriseへ。この疾走感(PVでもジェイク、オールドウェイヴな激走しています)がたまらない。しかしジェイクは「まだまだいけるだろ?」と言わんばかりに、さらにパンキッシュなロックンロールWhat Doesn't Kill Youを繰り出す。


僕なんかは単純なので、この3曲だけでかなり満足してしまったのだが、Me And You、A Song About Love、Pine Treesといったミディアムスローなナンバーでは、前作にはなかった良い意味での脱力感があって、より深みが増した印象を受ける。アルバムの後半はこういうタイプの曲やルーツミュージック的な曲へとシフトしていく。


イアイン・アーチャー、ブレンダン・ベンソン(!)といった職人たちが見事に脇を固め、輪郭のはっきりしたメロディーラインは健在。おそらくこれを他の人が歌うと若干あざとさが出てきそうなものなのだが、ジェイクのどこまでも天然なキャラクター性がそれを感じさせない。もうなんか「ただただ好きなんだ」っていうのが歌声に満ちあふれている。「パターンが似通っている」と思う人はいるだろうが、ジェイクの志向性がそれだけピンポイントで迷いがないって事の証明であるように思う。個人的には全然OK.


ギター一本もって歌う、それだけで成立させる表現者の力を感じさせるアルバムであり、こういうのをいつもどこかで待ち望んでいる自分がいる。こんな時代でも「やっぱりギターロックなんだよ」って言ってもいいんだと、確かに「理想郷」はあるんだと、そういう思いをかき立ててくれる