Sun Structures/Temples | Surf’s-Up

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Sun Structures/Temples



¥2,240

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UKミッドランド出身の4人組、テンプルズの1st。


ノエル・ギャラガーが激賞したことが盛んに取り上げられていたが、昨年リリースされた『シェルター・ソング』もかなりの反響を呼んでいた。ただ、個人的には雰囲気の良さは感じつつも、もう一つインパクトが足りない、グッと来ないもどかしさがあった。


ラバー・ソウル、リボルバー期のビートルズライクなサイケデリック・サウンド。まぁ、本当によく聞く常套句だ。あまりの常套句ぶりに、逆にマイナスな印象を与えるんじゃないかと、余計な心配さえしてしまう。しかしながらこのアルバムは、その常套句に命を吹き込むような、輝かしいセンテンスに仕上げてしまうような力を持っている。僕はそう思う。


なぜそう思うのかというと、彼らの場合、サイケサウンドありきというわけではなくて、良く練られた楽曲をベースにした際に相性の良いサウンドを探した結果、ここにたどり着いたというのが見えるから。ビートルズも多様な表現手法をロックのフィールドで見事に繰り広げたが、楽曲とのマッチングが完璧だったからこそ、大衆性を獲得した。テンプルズのこのアルバムにも、全てとは言わないが同様な空気を感じるところがある。


オープニングのシェルター・ソングからアッパーなチューンが続く。そのためにサウンドプロダクションもフレミング・リップスのようなドープな方向に行かず、適度なスピード感の演出を心がけているように見える。だから、はっきり言うと、2ndでは曲のあり方次第でサウンドが大幅に変わるって事もありうるだろう。でも、このアルバムに収められた楽曲であらば、このサウンドプロダクション以外にあり得ない。


個人的には6曲目Move With The SeasonからTest Of Timeの流れが好き。アッパー一辺倒ではなく、ダークでうねりのあるグルーヴを挟みながらも、スピード感は失われることがなく、むしろ何か爽快感さえ感じさせる。この辺の軽快さ、風通しの良さも、このアルバムの強みだ。