- Comedown Machine/Strokes
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The Strokesの5thアルバム。
「まだ5作目なのかー」というのが率直な感想。2001年に衝撃のデビューを飾ってから、まだ12年。そんなものなのか。「ストロークス後」というロックの状況を生んだ彼らが、どのような歩みを見せるのか、いやがおうにも注目を集めてしまうのだが、彼ら自身はそんな注目から逃れようと身を潜めてきたように思う。
そんな中で自分たちの音を追求していくことは容易でなかっただろう。前作、Anglesは個人的には各メンバーの音楽的志向が見事に結実された、ストロークスという「母体」のポテンシャルの高さを証明したアルバムだったと思う。
しかし、評価はあまり芳しいものではなかった。彼らが身を置く場所は実にシビアな環境だと、ため息が出そうな思いになったのを覚えている。
故に、次作のリリースは慎重に行われるのかと思っていたけど、案外早いスパンで聴けることとなった。いち早く公開されたAll The Time。シンプル&モダンなロックンロール、しかし決して原点回帰ではない。酸いも甘いもかみ分けた人間にこそ鳴らせるシンプルさなのだ。実にスタイリッシュでダンサブル。挨拶代わりとして最高すぎる。久しぶりのゾクゾク感を味わうことができた。
この曲に象徴されるようなスタイリッシュ&ダンサブルがアルバム全体のトーンとなっている。若干毛色が違うけどTwo Door Cinema Clubあたりに通じる感じ。
One Way Triggerのような、テクノ的リフで疾走するナンバー、Slow Animalsのようなポリリズム調のようなものもあって、デビュー時に比べるとその音楽性は膨張し続けているけれど、決して情報過多になることがない。そして、象徴的なリフを必ず各曲に配置し、グルーヴを展開させることに成功している。それこそがストロークスの肝。前作に比べるとギターに勢いのある曲が多く、個人的には前作以上に好み。
前作で顕著だった、ジュリアンのヴォーカルの向上は、ここでは落ち着きを見せているというか、すでに堂に入ったものになっている。Partners In Crime、Chancesのような独特のポップ感のある曲でも、見事に歌いこなしている。
一聴して、素直に「かっこいい」と思えるアルバムだと思いますが、どうでしょう。
(26/07/13)