Hummingbird/Local Natives | Surf’s-Up

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Hummingbird/Local Natives



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Local Nativesのセカンド。かなり楽しみにしていたセカンドである。


2010年にファーストをリリースした頃は、いわゆるブルックリンのロックシーンが隆盛を誇っていた頃。彼らの存在はそれほど目立ったものではなかったけど、このファーストは聴けば聴くほどじわじわ良くなっていく良いアルバムだった。


ポップやパンクなどをセンス良く組み合わせること自体に目新しさはないが、彼らの場合は雑多な要素をたくさん盛り込んでいるのに、非常に軽やかなものへと昇華させていたように感じた。これはやっぱりセンスが良くないとできないが、その要因の一つは洗練されたビートにあったように思う。しなやかで縦横無尽に展開するドラムワークがかなり鍵となっていたと、そう思っている。


その印象が強い中での第一印象は「あれ、こんな感じだったっけ?」


まず、オープナーのYou And Iに息をのむ。たゆたいながら、しかし力強いギターサウンドに祈りのような歌が折り重なって、緩やかに上り詰めていく。いきなりメランコリア全開。


もっとグルーヴ面で進化をはかっていくのかと思いきや、乾いた叙情性が繊細なサウンドスケープで描かれている。繊細でありながら、線は決して細くなく、むしろ強靱に見える。


前作の流れをくんでいるリズムに遊び感のあるナンバーが驚くほど少ない。リズム面では、2曲目Heavy Feetあたりはブレイクビーツ風であるものの、やはりここでも耳に残るのはギター。時に猥雑さを醸し出したり、時に深きノイズを奏でたりと表情豊かなギターサウンドがこのアルバムの肝になっている。


Sigur Rosかと思うほど壮大なBlack Spot、激情をオリエント風に叩きつけるBreakersなどなど楽曲のスケール感が格段に広がり、それを表現する手段としてギターサウンドへと傾倒していったのだろうか。とにもかくにも、この辺はすごく好み。昨今、なんだかロックシーン自体がややギター離れしていたように感じられていたので。このスケール感の格段の広がりは「大飛躍」と言えるものだ。


ただ、前作のCameraTalkのような緩急のついたナンバーがもう少し聴きたかったというのはある。アルバム全体聴き応えは十分なものの、せっかく持っている「引き出し」を少し空けても良かったように思う。


(01/04/13)