- Jake Bugg/Mercury UK
- ¥1,922
- Amazon.co.jp
- Jake Bugg,昨年リリースされたファーストアルバム。弱冠18歳。
- ドン・マクリーンの「ヴィンセント」を聴いて、歌を書くことに目覚めたという 有名だけどこの時代に「ほんまかいな?」と思ってしまうエピソード。しかし、このファーストアルバムを聴けば、それもなんだかストンと落ちる。
- ジャケットといい、初めて聴いた音源であるLightning Boltといい、どことなく硬派なシンガーソングライターを想起させるんだけど、実際に聴いてみるとだいぶ印象が変わった。
- UKの路地裏ですっくと立っているような、男気あふれる「うた」を基軸にしているけれど、硬派と言うよりも、アレンジ面で幅の広さを感じさせる、バラエティーに富んだロック・アルバムという感じ。というか、スタイル的にはドン・マクリーンが活躍した70年代のフォーク・ロックなんだけど、明らかに現代のシーンの影響も感じるのだ。
- たとえば4曲目Seen It AllなんかArctic Monkeysの存在無しに生まれただろうか?本人もアクモン好きだと公言しているが、ありがちなのは自分のバックボーンになったものを消化して個性へと転化していくパターン。しかし、ジェイクはそうせず、自分の音楽性を培ったものに対して、実にストレートなアプローチを見せている。
- すごいと思うのが、それが「まんまパクリ」には見えないこと。サイモン&ガーファンクルだ、ディランだと意地悪な人ならいくらでも挙げてきそうだけど、そういう見方を蹴散らすだけの「王道感」が漂っている。
- この時代に、こういう変化球無しのロックをやるっていうのは、まず単純に「ロックバカ」なのだ(ジェイク、これは褒め言葉です)。そして、「Xファクター出身のカスども」を敵とするには、まさに正反対のロックを自分自身の手で鳴らす必要があったんだと思う。その気概がこの「王道感」を生み出しているような気がする。そして、徹底的に「歌」にこだわったアルバムだと言えるだろう。自分のアイデンティティに忠実に向き合った結果、瑞々しい歌がぎっしり詰まったという感じだ。加えて、このキラキラな輝度の高いメロディー。基本的には共作しているようだが、力強さと儚さが表裏一体となった味わい深さがある。個人的ベストトラックは13曲目Someplace。
- もう少しトーンを揃えたら、さらに強度の高いアルバムになったと思うのだけど、この歳でそう簡単には音楽性が固まらないか。僕は応援します!
★★★★(19/02/13)