Endless Flowers/Crocodiles | Surf’s-Up

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Endless Flowers/Crocodiles



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The Soft Packに続いて、またまたサンディエゴのバンド、Crocodilesのサード。


以前は二人組だったが、新たに3人のメンバーを加えて本格的なバンド構成になった。これまで、サイケでノイジー、かつ甘いメロディーを毒気たっぷりに振りまくシューゲイザー・バンドという印象であったが、個人的にはサウンド的に一番未完成であろう1stが好きだった。


オープニングはアルバムタイトル曲Endless Flowers。いきなり思いのほかエモーショナルなチューンで、特にヴォーカルに力強さが感じられる。シンセを味付けに使うなど、やや80's的な雰囲気は若干安い感じがするけど、この疾走感とシンガロングなメロディーはオープニングとして十分。


続く、Sunday (Psychic Conversation #9)でさらに疾走感のギアを上げ、No Black Clouds For Dee Deeなんかはネオアコなんじゃないかというくらい軽妙なポップナンバーに仕上がっている。5曲目、Hung Up On A Flowerでやや昔の姿の片りんを見せるが、アルバム後半も歌メロがポップな楽曲が続いていく。


サウンドの構造としては、ノイジーな面は残しつつも、これまでよりは分離の良いサウンドになった印象。シューゲイザーの色をやや後退させ、その隙間を埋めるようにウォール・オブ・サウンド的なアイディアをちりばめている。それ故にもともと彼らの持っていたポップ性がよりわかりやすく浮き上がってきたように思う。


 意図としては、全体的な流れで陶酔的な音空間を作るのではなくて、あくまで各楽曲を独立したものととらえ、ドラマ性、クオリティーを高めることに力を入れたように見える。そうなると逆に曲の輪郭をぼやかせてしまう要素は取り払われるのかもしれない。


 ただ、1stにあった毒気がどんどん薄れているように感じられるのが残念。3人が加わり、音のバリエーションが増えた分、サウンドとして落ち着いたものが出来上がってしまったのかもしれないが、少々お行儀が良すぎのきらいも。あとなんかグラスヴェガスそっくりに聞こえてしまうんですよ。メロディーセンスはいいものを持っているので、形を整えることよりも、熱いままぶっ放してくれるような乱暴なものを次作は期待。


★★★☆(14/02/13)