- Nocturne/Wild Nothing
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ヴァージニア出身のジャック・テイタムによるプロジェクト、ワイルド・ナッシングスのセカンド。
ソロ・プロジェクトであるのだが、それほど密室感がなく、親しみやすい作品になっている。ジャケットのアートワークがストーン・ローゼズの1stと似ていたため、そっち系の音かと思ったけど、ちょっと毛色は違う。
ニュー・オーダー、ザ・スミス、ザ・キュアー80~90年代のUKロックが好きな方なら、「おっ!」と思う要素は多分にある。シンプルなリフを多用したギターワーク、憂いと湿り気を帯びたシンセサウンドと、メロディーラインはどことなくヨーロピアンな輝きを持っている。
個人的にはこのメロディーラインがかなりツボ。というのも、洋楽体験のスタートがニューロマだったので、こういうキャッチーで耽美的な感じにはかなり弱い。
そして、基本的なフォーマットにほとんど変化がないのに、ニューウェーヴ,ネオアコからシューゲイザー、ゴスまでと実に幅広いサウンドを表現している。統一感の無さはどうしても生じてしまうところだが、ジャックのレコード棚からのプレイリストと思えば、それほど気にはならない。
それよりもむしろ、自分の音楽的才能の引き出しをガンガン開けているようで逆に痛快である。このアルバム、日本盤はボートラが9曲もあるのだが、これまた完成度の高い曲がズラッと並んでいる。Nowhere,Waitなんてなぜアルバムに収録されなかったのかと思うくらい魅力的なナンバーだ。
個人的に好きなのは表題曲Nocturne。こういうギターワークがすごく好き。さらに耽美性を極めたParadiseもいい。
ポップな側面が割と浮き上がったアルバムではあるけれど、よく聴いていると奥底のダークさがぼんやりと見えて来るような、不思議な味わいがある。先の見えない不安と享楽さの狭間でなっているような、なかなかの好作。
★★★★(22/12/12)