ハードファイ、4年ぶりのサード・アルバム。4年というのは最近の若いバンドの中ではスパンの長い方であり、その間にロックの潮流が変わってしまうこともあっただろう。バンドはその間活動休止状態にあったようだが、焦ることなく自分たちのタイミングでアルバムをリリースしてきた。
制作に当たっては、スチュワート・プライス、グレッグ・カースティン、アラン・モウルダーの3人がプロデューサーとして関わっている。スチュアートはマドンナやザ・キラーズ、グレッグはリリー・アレンのプロデュースで有名。この辺の人選はよくわかる。しかし、マイブラやジザメリ、ナインインチネイルズなどノイジーでごついプロデュースというイメージのあるアランの登用は意外だった。しかしながら、彼らのポップ性やグルーヴをキープしつつ、エッジの効いたロックを作り上げたいという意図も感じられる人選である。
元々は自分たちの音楽性を「ディスカ」なんていう名前を付けたりしていたが、今作ではいろいろなジャンルを消化してハード・ファイ流のビッグチューンに仕上げている。もうとにかく、どの曲もめちゃめちゃわかりやすい。
1曲目Good For Nothingからもう全開。どこかファンク的なノリを感じさせる、意外とこれまでの彼らにないテイストであるが、サビで野郎どもが合唱するというスタイルはまさに彼らの王道。オリエンタルなシンセとブルースハープの絡んだ四つ打ちサウンドがたまらないGive It Up、the Crashの現代版的なStopなど前半はとにかく男気あふれるグルーヴで押していく。
一転後半はやや様相が変わってくる。ビッグトラックに変わりはないものの、シンセがやや前面に出てくるようになる。ExcitementやLove Songなど最初はエレ・ポップかと思うくらい、きらびやかな音色のシンセが彩っている。個人的にはもう少しごつごつしている方が好きであるが、ラストのKiller Soundsは割と直球のギターロックで清々しく終わる。
エレクトロな要素が増加しているが、ギターロックのダイナミズムとのマッチングを図ったサウンドは時々New Orderのようにも聞こえる。個人的には好みの音ではあるけれど、これが没個性につながらないようにじ今後に期待したい。これだけシンガロング必至のナンバーを並べてきたことで、バンドのポテンシャルの高さは十分証明されたのだから。
★★★★(3/11/11)