Portament/The Drums | Surf’s-Up

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 The Drumsのセカンド。割と短いスパンでのリリースはやや意外であったが、それは自分のように古いロックリスナーの固定観念なのかもしれない。自分のイメージとしては、シーンに影響を与えるようなファーストをリリースしたバンドは、「次なる一手」を打つのに十分に時間をかけるものなのでは、と。それこそThe Stone Rosesなんかまさにそう。でも、最近の若手はそうでもない。良い例がArctic Monkeys。彼らは未だにそれほど長いスパンをかけずに次々と良作をリリースし続けている。

 約1年ほどでこのセカンドが世に出たわけだけど、まずトーンの変化に気づく。1曲目Book Of Revelationはギターリフもビートも抑えめ。いたずらに高揚することなく淡々としている。2曲目Daysは、あのLet's Go Surfingを思わせるような心地よいイントロ、サビのメロディーも割と明るいが、無機質なドラムとベースがやや強めになっていて、それが郷愁感を誘う。4曲目Moneyはいち早く公開されていたトラックで、アルバムの中では割と1stのテイストに近いものであるが、独特のストイックさがあって、ポップ感は抑えめになっている。


 といった具合に、前作のあっけらかんとしたポップはやや影を潜め、内省的なトーンの曲が増えた。どの曲も軽快なテンポで進んでいくのに、聞き終えた後に残るものはかなりビター。ギターの音色もマイナーな感じで陰鬱な響きを持つ。それでも、やや捩れ気味に展開していくメロディーは今作でも健在。前作も僕が一番好きだったのはこの点だったので、そこが継承されていることはすごく嬉しい。ただ、リズム面ではまだまだ進化の余地がありそう。アルバムを通して、単調に感じられるところもあるので、もう少し緩急付けても良いような気がする。


 ほかに気になったのはHard To Love。シンセ中心のサウンドで、かなりエレポップ寄りに仕上がっている。何となくであるが今後はこういうタイプの曲が増えそうな気がする。あと、やや音響系的なサウンドデザインのIf He Likes It Let Him Do It。これはすごく好き。なんかSea And Cakeあたりと近いものを感じる。


 ★★★★(2/11/11)