The Birthday,新メンバー、フジイケンジ加入後の初アルバム。通算5枚目に当たる。「日本語でかっこいいロックンロールをやるバンドは?」と聞かれると、まず彼らが思い浮かぶ自分だけど、率直にイマイアキノブというギタリストこそが、The Birthdayの肝だと思っていた。そのイマイが脱退した後にリリースされたシングル「なぜか今日は」は詞もメロディーもまさにThe Birthdayなのに、サウンド面では大きな変化があった。
今までに比べると、切れの良いカッティングとソリッドな音色が楽曲の中でフィーチャーされており、なんだか新しいバンドのように聞こえる。ギタリスト一人変わるだけで、こんなにもロックンロールのテイストが変わるのかと驚いた。
その変化はアルバム全体の感触にも大きな影響を与えている。1曲目Horoscopeでこれまでにないほどにタイトなロックンロールでアルバムは始まる。そしてそれ以降もテンポをあまり落とすことなく、ひたすら走り続けるように流れていく。
その風通しの良さは、やっぱりこれまでにないもので、ある種の心地よさを感じる。また、Outlaw 2のようなリフはイマイのギターから鳴ることはなかっただろう。イマイの脱退が規定路線だったのか突然だったのかはわからない。しかしながら、それを絶対に肯定的に受け止めようという姿勢はこのアルバムからビンビン感じられる。今吹いている風に乗って、どこまでも行ってやろう、世界の終わりを見てきてやろう、というような迷いのなさは良い影響を与えていると思う。
メロディーは今までのアルバムの中で一番ポップに仕上がっていると思う。Saturday Night Killer Kissなんかはアイドルが歌っていてもおかしくないくらいの歌謡曲の香りさえ感じる。BuddyやBaby You Canのような王道のロックンロールもサビの強烈なフックがすごく頭に残る。
ただ、イマイアキノブの抜けた穴の大きさはやはり感じてしまう。イマイのねちっこくダーティーなギターがないと、どうにもThe Birthdayという感じがしないのだ。いいんです、すごくいいんだけど、この「えぐみ」の無さが・・・。
★★★★(1/11/11)