andymoriの3rdアルバム。前作「ファンファーレと熱狂」が素晴らしくて、僕自身andymoriを聴くきっかけになった1枚でもある。なんでも、CDショップ大賞も取ってしまったらしい、とは最近知りました。というわけで、今若手のロックバンドとしてはかなりの存在になりつつあるのだが、今作でもその歩みを止めることなく成長している様子がわかる。
ロックンロールの熱情の赴くままに、駆け抜けるような11曲。1曲目の「革命」は1分半ほどの短い曲であるが、この曲が強烈なインパクトを持っている。というか、この1曲がアルバムで伝えたいことを体現している。
「100回 1000回 10000回叫んだって 伝わらない 届かない思いは/100日 1000日 10000日たった後で きっと誰かの心に風を吹かせるんだ」(革命)
今ある何かを、抑圧するものを破壊して、新たなものを、価値観を作り上げること。そんな一般的な革命の定義と、彼らの掲げる「革命」は少々意味合いが異なると思う。途方もないこと、無理かもしれないことでも、思いをぶつけ続けることで誰かに届くかもしれない。気の遠くなるようなことかもしれないけど、そんな事の繰り返しがやがて大きな風になる。その風こそが革命なのではないだろうか。
このアルバムの各曲の中に、そんな「革命マインド」がかいま見える。愛する人の言葉を聞くたびに「死ねる」って思えるようになったり(楽園)、心のままにダンスし続けたり(ダンス)、はかない世界の中でも人や歌を信じようとする(Peace)。それらは全て、本当に小さいことなのかもしれない。でも結局、日々の中にある人々の祈りや営みだけが、「世界」を変える力を持っている。きっとそういうことなんだと思う。
少々サウンド面から離れてしまったが、軽快なギターサウンドと親しみやすいメロディーは今作でも健在。わかりやすいサビを中心に据え、そこにシンプルなビートと3ピースらしい緊張感のあるアンサンブルを見せている。
★★★★(29/10/11)