Famous First Words/Viva Brother | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

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 英スラウ出身の4人組。Brother改めViva Brotherのデビューアルバム。UKロックの新人勢の中でも注目度はかなり高いバンドである。「世界一ビッグなバンドになってやる」というヴォーカルのリーの息巻きぶりを見てもわかるように、そのビッグマウスでリアム・ギャラガーとも舌戦を広げてきた(今は認め合ってるとの情報も)。


 でも、もちろん彼らは単なるビッグマウスではない。それは、このデビューアルバムを聴けば容易にわかる。これはもうビッグマウスに夢を語れるくらいでなければ鳴らすことのできない音なのだ。大いなる野心と確信がなければ、Viva Brotherの音にならないのだ。


 プロデューサーは、あのスティーヴン・ストリート。彼らの曲を聴いたスティーヴンが自らプロデュースを買ってでたそうである。ちなみにメンバーはThe Smithsのファンであり、モリッシーは彼らをツアーの前座に起用している。


 まず耳を引くのが、そのキャッチーなメロディーだ。ど真ん中のブリット・ポップ的メロディーで、Modern Life Is RubbishからParklifeあたりのBlurを彷彿とさせる。明快な歌メロとコーラスのインパクトが強い。そしてリフにもキャッチーさを求めるモッドなギターサウンドはOasisやOCSあたりを想起させる。かなり「おいしいとこどり」のサウンドに聞こえるのは致し方ないところか。


 それでも、個人的には全曲シングルにも出来そうなくらい、キャッチーなメロディーセンスを大きく評価したい。なんだかんだ言っても、今これだけ大きな歌メロを書けるバンドはなかなかないと思うのだ。これからまた音楽的には進化・挑戦をしていかなければならないだろう。でも、このメロディーセンスを鈍らせることだけはしないように、と強くお願いしたい。個人的には彼らは優秀なメロディーメイカーだと思うけど、アルバムがやや一本調子に感じられる点から優秀なトラックメイカーにはなりきれていないように感じる。


 自分のように、とにかくギター・ロックが死ぬほど好きだという人間にとっては、どうにもこの音はツボなのだ。全部とはいかなくても、朝から頭の中をDarling Buds Of Mayのメロディーがぐるぐる回っていたりするのだ。だから、絶対に2ndを出して欲しい。もうちょっとのアイディアとオリジナリティでこのバンドは化ける可能性を持っている。


★★★☆(27/10/11)