The King Is Dead/The Decemberists | Surf’s-Up

Surf’s-Up

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 タイトルが何ともインパクトがある。思わず「The Smithsに対するアメリカからの回答」なのかと勘ぐってしまうのだが、全く違います。 なんと、全米チャートで初登場NO.1.になったという作品です。


The Decemberistsは米ポートランド出身のバンド。2000年に結成され、今作はバンドにとって6枚目の作品となる。これまでは、アメリカンロック・フォークを基調としつつもどこか陰のあるサウンドを作るバンドのようだったが、今作ではだいぶその様相が変わったようである。


1曲目Don't Carry It Allではゆったりとしたビートとおおらかなメロディーが気持ちよさげに流れている。そこにアコーディオンやバイオリン、マンドリンらが加わっていく、まさにアメリカの王道を行くサウンド。2曲目Calamity Songは一転して、ドライブ感のある開放的なナンバー。3曲目Rise To Meはこれまたアメリカンロックの王道的なスローナンバー。

 カントリーやブルースなどのルーツミュージックを下敷きとしたフォークロックであるが、メロディーの質感がとてもいい。どの曲も陽性で柔らかなメロディーを持っている。性質上「保守的」にとらえられても仕方のないところだが、シンガロングできる親しみやすさを持ちつつ、聞き終えたあとに心がチクッとするような切なさを感じてしまうのは僕だけだろうか。


 元(涙・・・)R.E.M.のピーター・バックが参加している。何でもR.E.M.のような曲ができたから、ピーターにギターを弾いてもらおうと軽い気持ちでお願いしたら、快く引き受けてくれたらしい。3曲でギターやマンドリンを弾いている


確かにThis Is Why We Fight(参加してませんが)とか、R.E.M.っぽい。


 R.E.M.が解散した今、アメリカーナの伝承者となっていくのかどうかはわからないが、その素質は十分にある。個人的にはこういうバンドがアメリカで正当な評価を受けていることがうれしい。「いいものはいい」という金科玉条が死んでしまっては、ロックシーンでさえも終わってしまう。


 ★★★★☆(25/10/11)