スコットランド・ダンディー出身のバンド、The Viewの3rd。
彼らというと、とにかく1st「Hats Off To The Buskers」の印象が強烈だ。青臭くも微塵の迷いもなく疾走していくロックンロール。こういうものは間違いなく1stでしか作れないだろうという、ピュアさときらめきに満ちた音。バンドは最高のスタートを切ったと言える。続く2nd「Which Bitch?」は音楽性をさらに発展させようと、音色や曲のヴァリエーションが増加した。個人的にはそういう挑戦は良いと思う。しかし、1stに宿っていた感性をわしづかみにするような荒々しさはかなり後退してしまった。
おそらく、そこをこの新作で取り戻そうとするのではないか、僕の読みはこうだった。しかし、良い意味でバンドは自分の期待を裏切ってくれたと思う。プロデューサーはあのユース(ex.Killing Joke)。
1曲目Grace,2曲目Underneath The Lightsとゴキゲンで疾走感のあるナンバーが続く。この時点では「原点回帰」だとか「初期衝動の復活」という言葉が浮かんでくる。しかし、アルバム全体を見るとそれだけにはとどまっていない。
カントリー調の軽やかなポップ、Girlや冷ややかなシンセがアーバン風なFriend、ラストの壮大なThe Best Lasts Foreverなど、さらに新たな音楽性への挑戦も見られる。それでも、前作でやや上品になったメロディーが今作では非常に伸びやかに聞こえることはうれしい。もともとUKの王道を行くメロディーを書けるバンドである。古典的でもあるが、様々なアレンジにも耐えうる強さがある。そこは1stから一貫している魅力であるが、少しずつメロディーのスケール感が増しているように聞こえる。
ただ、サウンド面で言うと、若干バンドサウンドのエッジに丸みが見られるようにも感じられる。今作ではメンバーがクリーンな状態で作られたと聞くが、サウンド面ではもっとハードにマッドに展開した方がより魅力的かなと感じた。
★★★☆(22/10/11)