Klaxons,やっとリリースされたセカンド。 とは言っても、前作から3年ほどしか経ていないが、この期間精力的にレコーディングを重ねながらもレーベルにリリースを却下されるなど、バンドとしては苦闘の時間であったようだ。
リードトラックEchoesは彼ららしい、即効性抜群のコズミック・チューン。サウンド面ではベースラインなどに重厚さが加わわり、よりヘヴィな質感を与えている。アルバム全体が割とそういうテイストのサウンドが多く、前作を好んで聴いていた人は面食らうかもしれない。高速に展開するメロディーラインは相変わらずだが、今作では曲のハイライトとなる部分をヘヴィーなサウンド、グルーヴラインで表現しようとする意図が見られる。
おそらく、自分たちのロック・バンドとしての立ち位置がそこにあると判断したのだろう。バキバキうなるベースライン、コンプのかかったギターなど、曲の中に出来るだけ詰め込んでやろうっていうねらいを考えると、プロデューサーをロス・ロビンソンしたってことにも納得がいく。バンド・サウンドという面では明らかに前作を凌駕しているし、醸し出される攻撃性・暴力性も付け焼き刃的な感じがなく、このサウンドを自分たちのものにしていることが十分に分かる。
ただ、このヘヴィ化が以前の彼らにあった、しなやかなダンス・グルーヴを失わせてしまったことは確か。ビルド・アップした結果、余計なところにまで筋肉が付いてしまった感がどうも否めないのだ。そこは好みもあるだろうが、個人的には彼らが持っていたメランコリアな部分がかなり後退してしまったことが残念である。
もちろんEchoes,疾走感のあるValley Of The Calm Trees、退廃感を漂わせるVenusia、様式美的なサウンドと性急なビートが心地よいCypher Speedなど、魅力的な曲もいくつかある。Flashoverみたいな、性急感のあるナンバーがもう少しあるといいかな。
おすすめ度★★★☆(25/09/10)