FUJI ROCK FESTIVAL '10 7/30(1) | Surf’s-Up

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音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

 5年ぶりに参加するフジロック。ここ数年は魅力的なラインナップ,アクセスの便利さに惹かれ,ずっとサマソニに参加していた。


 とはいえ,毎年必ずフジかサマソニか,すごく悩む。迷う。それはフジには他のフェスには無い魅力があるからだ。まずあのロケーション。自然あふれる会場もそうであるが,越後湯沢という町がまず楽しい。あんまり便利じゃないんだけど,自分にとって温泉や日本酒など魅力的な要素が多い。

 

 そしてあのピースフルな雰囲気である。普段あんまりエコとか考えないし,行き過ぎた思想や行動には時々違和感も感じるのだけど,ここではきっちりゴミを分別してやろうと思う。また,自分のペースで楽しめることも大きい。ここに来ると,お目当てのアーティストが観られなくてもさほど残念ではない。自分のペースでどんな風に行動しても,それはそれで十分に楽しいのだ。これはサマソニには無い感覚かもしれない。


 ただ,今回フジに決めた理由はMuse,Vampire Weekend,Them Crooked Valturesの3バンドが観られるから。これだけは絶対観たかった。絶対観たいバンドが3つも観られる。とどめはCorinne Bailey Rae。どうしても彼女の歌声が苗場で風に乗るところを観たかった。


 前日に飛行機で新潟まで。昼間は新潟のBeamsでフジTを買ったり,その夜は名前は忘れたが地酒をたらふく飲んだりして前夜祭のごとく楽しんだ。翌朝,8時近くの新幹線で湯沢へ。これくらいで,オープニングには間に合うだろうと思っていたら,シャトルバスの列は駅中まで伸び、乗り込むまで1時間以上待った。おかげで、すごく楽しみだったグリーンステージのオープニング,Superflyではなくキヨシローの「田舎へ行こう」に間に合わなかった。残念。「田舎へ行こう」が流れる瞬間は格別なものがある。フジロックが始まるというか,そこに命が吹き込まれるような特別な瞬間なのだ。


 結局着いたのは11:30近かった。会場に到着してからは、少しぶらつく。基本的には昔とそれほど変わっていない。でもなんだか昔よりも賑やかに感じる。ちょいと腹ごしらえをしようと,五平餅を食らう。


 肝心のライブ一発目はAsh(Green Stage)。繰り出される曲のどれもがキャッチー。フェス仕様なのか勢いのある曲ばかりが選ばれていた。かつてはやや不安定だった演奏も、今ではブロック・パーティーのラッセルを迎え、ラウドでタイトなものへと変わりつつある。


Surf’s-Up 01. A Life Less Ordinary
02. Goldfinger
03. Shining Light
04. Joy Kicks Darkness
05. Orpheus
06. Kung Fu
07. Arcadia
08. Girl From Mars
09. Return Of White Rabbit
10. Burn Baby Burn



キャリアからいったら,もう若手ではないのだけど,未だに若々しいというかあの青春きらめきギターロックが躍動感を持って放たれている。メンバーは成長し,成熟していってるはずなのに,鮮度だけは失われることがない。というか,それが失われたらもうAshじゃないんだけど,演奏するときの気持ちは全く変わっていないんじゃないだろうか。ライブ自体もあっという間に終わってしまった。少々物足りなさもあったが,Ashらしさ全開のステージだったと思う。


 そして,そのまま移動せずThe Cribsを観る。8割くらいの目的はマー様を観ることにあったが。そのマー様は,なんか風貌がノエルっぽくなってきたような。それともノエルがマーっぽいのか。髪型や表情,ジャケットの着こなしまで両者よく似ている。




Surf’s-Up  しかし,ライブが始まるとすっかりマーに目がいかなくなった。すっかりライアンのインパクトにやられてしまったから。ビジュアルのインパクトもあるが(前髪素敵です),激しいを通り越したパフォーマンスを見せる。あんまりすごいものだから,時々リズムと合わなくなるが,「クリブスのライブは過激」という意味が分かった。ただ,他の3人はそんなライアンと上手く呼吸を取りながらやっているので,ロックンロールのぎりぎりのかっこよさが漲っていた。


 その後はMutemathを。これはもう掛け値なしに豪快。いつもそうだけど,凄まじいドラミング。ヴォーカル,ギター,みんなが常に動きまくっている。跳んだり跳ねたり,どこを観て良いか分からない。だからとりあえず動かないドラムをよく見ている。初めて観たときは本当に衝撃的で,逆に音に集中できなかったけど,今回は割と音を良く聴くことができた。



Surf’s-Up
今や彼らはスタジアム級のロックを鳴らすことができるバンドだ。それは決して,派手派手しくて耳障りが良いという意味ではなくて,自分たちの楽曲や演奏がスタジアムを席巻できるくらいスケールが大きいということだ。全部聴きたかったが,次Red MarqeeのBroken Bells のためGreenを後にする。


 そのBroken Bells。デンジャー・マウスは主にドラムをプレイ。会場自体の音響に問題があるのか,どうもディスクで聴けたアナログ楽器の鳴りがもう一つだったように思う。サウンドのキモだっただけにそこが残念。あと気持ちよい音が流れていたところで突如豪雨になり,屋根があるレッド・マーキーに人ががやがやと集まってきたり,個人的には自分の前にいた外国人女性がでかい声でずっとしゃべっていたりなどと集中できない時間が長かった。

すごく楽しみにしていたので,つくづく残念であった。