Surfer Bloodの1st。フロリダ出身の4人組。サマソニのHPによると「フロリダの大学で一回生の頃に、大学寮でレコーディングされ、奨学金を使ってレコーディングされた(!)というデビュー・アルバム『Astro Coast』がPitchfrokやSPINなどで絶賛される」とある。事実だとしたら、すごい。
MGMT、The Drums、Girls、Real Estateといったバンドたちが最近、ネオ・サーフなんて言葉でくくられるようになってきたが、このSurfer Bloodもまさにその潮流の中にいるバンドだ。
60年代のサーフ・サウンドから派生していったロックはたくさんあるが、Surfer Bloodもその辺の洗礼を受けているバンドだろう。グランジやパワー・ポップ的な部分やドリーミーでサイケなテイストなどがブレンドされ、フックの強いポップソングを生み出している。
オープニングは重量感のあるギターリフで始まるFloating Vibes。明快なメロディーと、うねるギターサウンドの相性が良く、バンドの音楽性を4分間に閉じこめたような曲である。2曲目Swimはシングル曲であるが、リヴァーヴやエコーが効いたヴォーカルに、ドライブ感あふれるギターというパワーポップ寄りな曲。3曲目のTake It Easyはがらりとテイストを変え、「Vampire Weekendか!」とつっこみたくなるくらいトロピカルで祝祭的雰囲気を放っている。
個人的に好きなのは中盤からの流れ。4曲目のちょっと陰鬱な雰囲気を持ったギターロック、Harmonix(タイトルは身も蓋もないが)から、グランジサーフなギターインストNeighbour Riffsへ。またちょっぴりVWが顔を覗かせる、清涼感溢れるギタポTwin Peaksを挟み、Fast Jabroni,Slow Jabroniというアルバムのハイライトへと向かっていく。
TFC風のラストCatholic Pagansまで、実にそつなくまとまったアルバムだと思う。ただ、難を言えばギターリフのキャッチーさが強い故に、曲の輪郭がややぼけてしまうような感じがする。いいんだけど、なんかもったいない。このバンドはもっと「ぶっ飛べる」はず。
おすすめ度★★★★(27/07/10)