Age Of Denial/Sennen | Surf’s-Up

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イギリス・ノリッチで結成された4人組。これまでに2枚のアルバムをリリースしているが、どちらも英国では高評価を受けてきた。引き合いに出されたバンドは、65dayofstatic,Explosions In The Sky,Spacemen3,Teenage Fanclub(おそらく初期の)など。ちなみにSennenというバンド名は、あのRideの曲名が由来とのこと。


 という情報から、何となく分かるようにシューゲイザーやポストロックの流れを汲むバンドである。「ニューゲイザー」という言葉が一つのムーブメントを指すようになった現在、Sennenもその一つだと言えるが、埋もれさせるのは少々もったいない、そんな魅力を持ったバンドである。


 で、紹介するのは彼らの3作目にして最新アルバム。プロデューサーは前作に続き、あのパット・コリアー。個人的には愛するWonder Stuffの1stを手がけたという認知をしているが、他にもプライマルやハウス・オブ・ラブ、ジザメリなど80年代後半から90年代前半の重要なギターロックアルバムに関わってきた人だ。


 そういう名伯楽の元で、まさに「その頃」に近い音を出している。かのNMEでは「Mogwaiをバックバンドに従えたS&G」なんていう比喩もされているが、メランコリックで美しいメロディーを重厚なフィードバックサウンドで鳴らしている。


 まず素晴らしいのはメロディーの質だ。ハーモニーを生かした楽曲が多いが、楽器で奏でるよりも人の声を生かしたくなるような「繊細さ」がある。また、このメロディーがバックトラックの轟音ととても良い相性を見せている。ポストロック的なものを求めている人にとってはドラムのバリエーションなどやや物足りないかもしれないが、適度にリミッターをかけたフィードバックが、彼らの楽曲の良さを引き立てているように感じる。


 というわけで、若さでグイグイ行くだけではなく、引くところもしっかりと心得ているため、とてもバランスの良い音であると思う。多くの曲で「緩やかに音が塗り重ねられていく」というワンパターンなところもあるが、アルバム終盤の壮大な流れ、息を呑む美しさは見事。それでいて重たくなく、清涼感さえ感じさせる。


 きっとこれで歌詞がもう少し良くなると(これがどうも・・・)、きっと本国でも少し取り上げられるようになるのだろうか。個人的には久しぶりに「ニューゲイザー」と呼ばれる中で、心引かれたバンドである。


おすすめ度★★★★(30/05/10)