オーストラリアのグルーヴ・ロック・バンド、ジョン・バトラー・トリオの3年ぶりの新作。個人的にオーガニックとかジャムという言葉にはあまり関心がない自分であるが、たまたま聴いた曲がなかなか良かったので初購入した。数年前フジロックで一緒になった人が「JBTのライブはすごい」と褒めまくっていたので、ライブには定評のある人たちだという認識はあったが、どことなく懐古的な音を出していそうなイメージがずっとあった。
(彼らの音楽性を称してよく言われる)「オーガニック・ロック」というよりは、今作はかなりコンテンポラリーなロックよりの作品になっていると思う。そして、各曲のエッジが立っている分、聴きやすい。でも、単なる心地よさではない。ルーツ・ミュージックを基調としてはいるが、レゲエやフォーク、ファンクなど雑多な音楽性を3人が自分の感性で表現しているところが面白かった。そして、その結果が逆に王道的なものに仕上がっていることも面白い。
One Way Roadの軽快なグルーヴ、C'mon Nowのパンキッシュなサウンド、Close To Youのようなハードロック調のサウンドも、このバンド独特のクセがある。どこかで聴いたことがあるようで、不思議と新鮮さがある。ちょっと優等生的な質の高さだが、いかんせんどの曲でもうねりにうねりまくったグルーヴが体感できる。
個人的にはDon't Wanna See Your Faceのようなヒップホップ・テイストが感じられる曲が好きである。こういう演奏力のあるバンドがヒップホップをやるとすごく映える。機械でやっても良いようなものを、生バンドがやることで生々しい迫力が生まれるからだ。
ただ、CDからはきっとこのバンドの魅力を伝えきれないのではないだろうか。楽曲をまとめなければならない分、彼らの本当の力を十分反映するのが難しいのだろう。やはり彼らの魅力はライブで体験するべきか。
おすすめ度★★★☆(18/04/10)