少し時間が経ってしまったが、3月にリリースされたBlack Rebel Motorcycle Club通算5枚目の新作。
近作の試行錯誤モードから一転し、ロックンロールのスピード感、ギリギリな様を実にかっこよく、「これぞ3ピース」という音で描ききった素晴らしいアルバムである。
テイストとしては1stか2ndに近い感じがするが、明らかにビルドアップされており、無駄なものがそぎ落とされたシェイプなロックンロールアルバムに仕上がっている。
アコギと重厚なビートに呪術的なヴォーカルが印象的なBeat The Devil's Tatooで幕を開ける。これだけを聴くと、ここからゴシック的世界が展開するのかと思うのだが、続くConscience Killerはめちゃめちゃかっこいいロックナンバー。「The Closer I Get」期のSix. By Sevenの様な、切れ味の鋭いロックンロール・サイケデリア。こういうナンバーは近年少なかったので、まさに彼ら本来の魅力が復活したと言う気持ちになった。
そのほかにもBad BloodやShadow's Keeperといったスケール感で勝負する曲があったり、HowlやBaby81を経て生まれたようなThe Tollやセクシャルな妖しさを振りまくEvolなど、トーン自体は統一的でも曲調はバラエティー豊かだ。
でも彼らは、辺りがどれだけ漆黒の闇に包まれようとも、黒い色をぶちまけまくる。舞台が都会の片隅の地下室になろうが、太陽が地平線に消えた大地になろうが、彼らは満足することがない。いらだちをかき消そうとするように、自分たちの音でもっともっと深い黒に染めようとする。
エンディングは10分以上に及ぶHalf-State。ギター、ベース、ドラムのサイケデリア合戦が延々と繰り広げられる。「炎が/路上で炎が燃えている/残酷な世界さ/オレ達を放り出すなんて」という歌詞がある。黄金を持つことも、炎に照らされることも許されない彼らの彷徨する姿がこの曲に描かれている。
ただ、これだけ重厚な世界観を提示されると、聴き手も若干食傷気味になるのだが、郷愁的なメロディーのSweet FeelingやLong Way Downといった曲が要所要所に配置されていて、ちょっとした箸休めとなっている。
おすすめ度★★★★(11/04/10)