Los Campesinos!の3rd。若さ故とも言える破れかぶれ的なパワーを推進力にエクスペリメンタルなポップを奏で続けた彼等であるが、1年強ぶりの3rdでまた新たな扉を蹴りやぶろうとしている。
タイトルが「ロマンスにはもう飽きた」ということで、まず感じるのは、サウンドが幾分重くなったということ。ずっしりとしたボトム、ラウドなトラックなど元々暗く内省的な歌詞と同調するような直情的なサウンドはダイレクトに聴き手に刺さってくるものの、ずいぶんとシリアスになってしまったという感も否めない。ドリーミーが、よりリアルなものへと変わってきたというところで好き嫌いが分かれそうだ。
もちろんこれまでの流れをくむような暴力的且つ爽快なパワーポップもある。ノイズギター、ストリングス、ホーンらがごっちゃまぜになりながら甘いメロディーを進軍ラッパのように高らかに鳴らしている様は相変わらずだし、どこまでもホールデン口調の歌詞(対訳のせいかもしれないけど)といい、頭でっかちな若さに溢れている。
ただ、暴走一辺倒だったこれまでと比べると、今作はいささか抑えている様な印象を受ける。やたらめったらに拳を振り回すスタイルから、ストレートやフックに強弱をつけることで、より陰影を際だたせるように見えるのだ。
ハードロッキンなPlan Aやゴージャスなストリングスからギターサイケへと展開していくWho Fell Asleep Inなどバラエティ豊かなサウンドはさらに深みを増し、成長を重ねていることがうかがい知れる。これもよりリアルな表現を求めているからなのか。
深化と変化のバランスを必死で取りながら、生々しい格闘の後が感じられるアルバムだ。その必死さが、何ともロックだと思う。
おすすめ度★★★★(20/02/10)