andymoriのセカンド。彼等の音を初めて聴いたのは「くるり鶏びゅーと」。その中で、実にシンプルな「ロックンロール」をそのままシンプルに気持ちよくカバーしていた。あまりのストレートぶりに、このバンドはいつもこんな音を鳴らしているのだろうと、勝手に想像したのだ。その想像は半分当たっていて、半分はずれていた、というのが今の感想である。
3ピースのロックバンドの等身大の音。温もりのあるメロディーを軽快に、叙情的に、そしてロックンロールに奏でるというスタイルはかなりオーソドックスなものだ。しかしながら、全く「まとまってる」感がない。そう、これだけメロウながら、このバンドは明らかに「暴走」している。
まさにくるりを思わせる郷愁的なナンバー、1984でアルバムはスタートする。メンバーの生まれた年なのだろうか。「1984 花に囲まれて生まれた 疑うことばかり覚えたのは 戦争映画の見過ぎか」と歌われる。早口でつんのめるようなヴォーカルと旅路をぶっ飛ばすようなグルーヴィーサウンドCity Lights、日々のいらだちや重ねる嘘をフォーキーに歌う16,祝福と狂乱のロックンロールチューンSAWASDEECLAP YOUR HANDS。
音楽性の振れ幅の大きさも魅力であるが、個人的には思うがままに紡ぎ出される言葉に、思いつく音を必死で重ね合わせていくことで、独特のバンドサウンドを作り上げていることが素晴らしいと思う。
アルバム全体から匂い立つ「がむしゃらさ」。ゆったりとしているナンバーでも、余裕が全く感じられない。でもそれは悪い意味ではなくて、とにかくandymoriというバンドは一人歩きしそうな自分たちの思いを、少しもこぼさずにかっこいいロックンロールにしたいという強固な意志を持っているのだと思う。故に、難解な歌詞もあったりするが、バースト寸前になりながらそれを抱えて、彼等のロックンロールは遠い先を見て走り続けている。
おすすめ度★★★★(13/02/10)