Nature Is A Taker/Uninhabitable Mansions | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Up Clap Your Hands Say Yeahのロビーとタイラー、Dirty On Purposeのダグらがサイド・プロジェクトとして立ち上げたUninhabitable Mansions。「サイド・プロジェクト」と括ったのは、活動が音楽だけにとどまるものではないから。ドローイング、ペインティング、執筆などあらゆるアーティスティックな表現活動を行っていくようである。


 今最も熱いかもしれないブルックリンの才人たちが集結しているということ、そしてそれぞれがメインのバンドを持ち活躍していることを考えると、これは相当ひねた音を出すのではないかと想像していた。ところが予想は見事に裏切られた。


 オープニングのThe Speed Is Deceivingは甘いメロディーと疾走感のあるギターとドラムが見事に溶け合った、爽快なナンバー。この後もどことなく懐かしいメロディーを持ち、ざっくりとしたロックが展開される。CYHSYもDOPも印象的なメロディーを書くバンドなので、メロディーの上質さについては今更驚かないが、サウンドスタイルが割とストレートなギターロックなのだ。適度な緩さとハードを行き交う感じは彼らが敬愛するYo La Tengoのテイストに似ているが、UMの方がずっとポップに聴こえる。また、Maps Not Accurateで見せる幽玄性はGrizzly Bearかと思うほど。なんというか、不思議とNY的な名前ばかりが浮かんでしまうのだが、今や市民権を得たこれらのサウンドを思うがままに鳴らしているのがよくわかる。その結果が、アート臭もあまりしない良質なロックアルバムに結びついたのではないか。こういうアプローチをする場があることは、本来のバンドにとっても良いことのように思える。


 インディロック好きには間違いなくツボな一枚。


おすすめ度★★★★(12/02/10)