Logos/Atlas Sound | Surf’s-Up

Surf’s-Up

音楽の話を中心に。時にノスタルジックに

Surf’s-Up Deerhunterのフロントマン、ブラッドフォード・コックスのソロ・プロジェクトAtlas Soundの2nd。これまでは、実験性を重視した作品を作ってきたようだが、ここではそこに彼の持つポップな側面が色づけされたような作品となっている。


 オープニングであるThe Light That Failedは若干チルなムードの中で始まるが、全体的に言うとこういう雰囲気の曲はさほど多くない。60年代風の思いっきりポップなメロディーにエレクトロで味付けをした歌ものWalkabout(Animal Collectiveのパンダ・ベアも参加)、アコギを中心としたシンプルなAttic Lights、Deerhunterのテイストが一番出ている、シンプルなビートからシューゲイザーへと傾れ込んでいくQuick Canalなどバラエティに富んだ曲が並んでいる。


 エレクトロを基調とし、そこにローファイなテイストやループを重ねたりしているが、激しい主張をしないプロダクション、無駄なものがそぎ落とされたソリッドな音世界がアルバム全体に独特の緊張感をもたらしている。シンプルなラブソングであるSheliaさえ、ただならぬ雰囲気に聞こえてしまう現実と非現実の境目を行ったり来たりするような空気感はDeerhunterに通じるものがある。Animal Collective好きなら、この音ははまるはず。また、幽玄的な側面から見るとGrizzly Bearあたりも近いような気がする。


 Deerhunterと並行して、これだけ濃密な音世界を作れるのはさすが。どちらも高い評価を受けているのもうなずける。


 おすすめ度★★★★(07/11/09)