0:50からはEarth TentでEastern Youth。イースタンも実に久しぶりのライジングだ。イースタンというと何となく夕暮れが似合うバンドだという印象がある。メンバー自身も、深夜に演奏することをやや不思議に思っていたようだ。
出てくるなり、吉野さんは
「あんたがた、今何時だと思ってんのよ」
「早く寝なしゃい」
そう言った。この先ずっとおもしろいので、吉野さんの発言を中心にお伝えする。
「そうだな、おじさんだったら、一回目のオシッコに起きる時間だな」
「こんな時間に起きているのは酒井法子くらいだな」
会場はまだまだリラックスした雰囲気だ。しかしこう続ける。
「我々、イースタン・ユースと申します」
そう言って、吉野さんの顔が一瞬にしてぎゅっと引き締まる。
そして、ギラッとした視線で一言
「子守歌なんか唄わねぇぞ」
といって、ギターを力一杯にかき鳴らした。
本当にぞくっとした瞬間であった。
オープニングは最新シングルの「一切合切太陽みたいに輝く」。ニューアルバム「歩幅と太陽」の中でも一番好きな歌である。次の「沸点36℃」も大好きな曲だ。いつだって闘えるぜっていう唄であり、人間そのものの力を信じている曲である。
セットリストは新曲に偏らず、代表曲をしっかり押さえたものであった。
いつもそうなのであるが、吉野さんはギターを魂で弾く。かき鳴らす。
その響きはとても力強いものなのだが、同時に心の襞をも表現している。
ジャンル的な意味ではなくて、どこまでも「エモ」である。
そういう吉野さんの「エモ」が聴き手に容赦なく突き刺さってくる。
深夜だろうが何だろうが、大炎上している。
「酒呑みだったらわかるべ。この時間まで呑まないでいるのがどんなにつらいか」
「あんたがた、ちゃんと家に鍵かけてきたか?今頃泥棒入ってるぞ。」
「バルサンしてきたか?今頃家ゴキブリだらけだぞ」
相変わらず憎まれ口たたきながらであるが、すさまじいテンションで曲をたたきつける。
「雨でも降れば、気が晴れるのに・・・」
「でも、どうせ傘なんか持ってねぇよなぁ」
そう言って「雨曝しなら濡れるがいいさ」をやったところもめちゃめちゃかっこよかった。
この後も楽しんでください、と最後に「街はふるさと」をやって、3人はステージを後にした。
こうやって始まりの唄を終わりに持ってくるところが粋な計らいである。
一切合切太陽みたいに輝く
沸点36℃
荒野に針路を取れ
夏の日の午後
砂塵の彼方へ
雨曝しなら濡れるがいいさ
いずこへ
まともな世界
街はふるさと
この後は、ふつーにテントで少し寝て、朝日をしっかり拝んで終わりました。
朝日を見る瞬間というか、疲れた体で朝方の空気を吸う時間、この時間がすごく好きだ。
荷物をまとめながら、会場を後にする時間
駐車場で一息つく時間
日曜の朝早く、札幌の街に車を走らせる時間
高速道路から、青空と景色を眺める時間
これらが終わってしまうと、「夏が終わったなぁ」と思う。
今年も夏が終わったが、しっかりと音楽を抱きしめた時間を過ごせて良かった。