4年連続でサマソニに参加している。サマソニの魅力は、まず自然の過酷さが少ないこと。暑いのだが、天候が不順なことがまずない。そして、多くのステージがメッセという屋根付きのハコであるために、体力の回復も容易なのである。近接ホテルもたくさんあるので、アクセスも楽。都市型フェスの魅力がぎゅうぎゅうに詰まったフェスなのだ。
また、ツボを押さえたラインナップも魅力。かつて、1回目のサマソニで、小さいインドアステージでライブをしていたのはColdplay。また、オープニングはシガー・ロス。どちらもまだ駆け出しの頃で注目度が高いとは言えなかった。サマソニにはそういうアーティストが多く集まる。これからシーンを担っていくようなバンドを紹介するショーケースのようなところもある。ライブを観て、CDを買うという通常と逆の楽しみ方ができるのである。
今年から3日間開催となったサマソニ。例年はまず金曜日に前乗りしてという感じだったのだが、さすがに木曜日から前乗りというのは日程・金銭的にも余裕がなかったので、開催当日の朝に旭川を発つことにした。
旭川を発ってから、現地に着いたのが13時過ぎ。当然三泊分の荷物を持っている状態なのだが、今回通し券の交換がマリン前になったのでそこまで歩いて移動しなくてはならない。これがきつかった。クロークに預けて、という選択肢もあったのだが、心配性の自分はクロークのトラブルケースがいくつも浮かんでしまう。気にしながらライブは楽しめないので、最初Kyteは荷物を背負ったまま観ることにした。
少々到着が遅れてしまったが、後方で座ってkyteを観る。まだまだ若いバンドであるが、CDを通して聴く彼らの音は驚くほど揺らがないしっかりした世界観を持っている。元々空調が効いて心地よい空間のsonicに彼らの音はぴったりだと思っていたのだが、繰り広げられたステージングは実にエモーショナルで熱いものであった。この手のバンドでヴォーカルが歌だけに集中しているのは珍しいが、その分荘厳な音世界だけでなく、「歌」を大切にしていると感じた。ヴォーカリストの奮闘に応えるようにバンドの熱も上昇していく。なんとなく涼しげな音を出すように思われるかもしれないが、僕の中では確実に「熱い」音を出すバンドである。まだまだ足りない部分もあるがもっともっと経験を積んでいくことで、ライブでもCD以上の迫力を生み出せるようになると思う。
次は65DAYOFSTATICを観る予定だったが、この荷物をどうにかしたいと考えたあげく、Mercury Revまでの1時間半でホテルチェックインを済ませることにした。千葉駅前の東横インへ向かい、荷物を下ろしてすぐに幕張へ向かったが、若干最初に間に合わなかった。
Mercury Rev。本日の目玉第1弾である。かつてはとんでもない音をライブで鳴らすと評判を集めたバンドであったが、最近はあまりそういう話も聞かず「落ち着いたのかな?」と思っていたのだが・・・
これが実にとんでもないものであった。
Snowflake in A Hot World
October Sunshine
The Funny Bird
You're My Queen
People Are So Unpredictable
Holes
?
Goddess On A Highway
The Dark is Rising
Senses On Fire
(後半は自信ありますが、前半は怪しいです。)
何がすごいって、ジョナサンのエンターティナーぶり。手を挙げて客をガンガンあおっていく。それに合わせるようにサイケデリックでカオティックな音世界が展開されていく。まさに無敵だった。いわゆるサイケデリックバンドにある浮遊感・幻想感を醸し出しつつも、最終的に伝わってくるのは、現世を生きるものの強さや美しさなのだ。ジョナサンが伸ばしたその手の先にあるものは、間違いなく僕らの目の前にもあるのだと思う。
轟音ギター、爆発を繰り返すドラミング、演奏も無秩序に繰り返しているようで実に見事にはまっていて、正直この日の曲数だけでは全然物足りないと感じてしまった。いや、満足しているんだけど不満足?とにかく、トリで観たいバンドである。最高。このポジションでありながらアンコールが起こったのは当然です。
すっかりMercury Revにやられてしまった僕は、Mewを観ようと思っていたけど、予定を変更してJack Penateを観ることに。どうもJackの2ndがしっくり来なかったんだけど、実はまだ一度もBeach Stageに行ったことがなかったので、この機会にと思ったのです。
まるでフジを思わせるような鬱蒼とした道を抜けると、目の前に広がる砂浜・海。わぁ、足下砂じゃん・・・。都市型フェスには似つかわしくないくらい、自然の心地よさが感じられる場所でした。海を眺めながら、ここで初めての1杯。うまし!
ステージ自体にはあまり人は集まっていないけど、その場にいる人たち全てが楽しそう。ジャックはギター弾きまくるのかと思いきや、ハンドマイクを手にステージを駆け回ったり観客に飛び込んだりと、ギター無しではじけまくっていました。2ndの曲は、ライブの方がずっと良かったです。1stではポップに表現されていたエモーションが、2ndではシリアスさをまとってより切実感を増して聞こえました。
しかし、ここでハプニング発生!!突然雨粒がパラパラと。最初は少ししてから止んだのですが、2度目のパラパラは、次第に「サーッ」にかわり、僕が泣く泣くビーチを後にした頃には「バシャバシャ」で、最後にシャトルバスの長蛇の列に並んでいる頃は
〆ゞ£§*@ΨΧΩβζ!!!!!!!
と激しくなりました。当然全身びしょ濡れ。落雷もすごく(この後のTahiti80は中止となったそうです)、バスの中はずぶ濡れ人間で充満。やっとの思いでメッセについたが、いつもなら天国に帰ってきたような気分にさせてくれる冷房が、このときは冷えた体に容赦なく突き刺さり、8月の千葉で僕は全身鳥肌男になりました。そしてこのことが、この後のど風邪を引くきっかけともなりました。雨具、持って行くかどうか迷ったんだよなぁ。
この後は、Mogwaiを観ることに。本日2回目の目玉。大好きなMogwai Fear Satanではあまりの音のでかさにめちゃめちゃ興奮したんですが、体を動かしながらノリノリで聴く類の音楽ではなく、透徹としながら巨大な怪物のようにのたうちながら牙をむくモグワイサウンドは、どうにも体の冷えを止めてはくれず、自分は気がつけばMountain Stageへと向かっていました。ただですね、モグワイは本当に素晴らしかったです。素晴らしすぎて鳥肌が立ったんですが、僕の肉体にはかえって致命的でした(悲)
Mountain Stageのトリはカサビアン。もう今や、マリンのヘッドライナーでもOKだと思うのだが。
まだアルバム3枚しか出していないのに、すさまじいセットリストでした。こういう言い方は良くないかもしれないけど、「鉄板」の曲を持っているバンドはいいライブをします。バンド自体の演奏は驚くほどではないんですが、トムの醸し出す邪悪な雰囲気と、暴力的なグルーヴが見事にぶっ飛んだ世界を作り上げていました。Club Foot
という必殺の1曲は本編のラストに登場。当然大興奮に包まれるのだけど、これで収まるわけがない。アンコールでも、最後にL.S.F.という大鉄板の1曲をかまして終了。
2年前にも観ているんだけど、また一段とふてぶてしさを増したカサビアン。Oasisの弟分なんていう冠はもう相応しくない。半ば強引に聴き手を快楽のグルーヴへと引きずり込む彼らのパワーはやはりすごい。