Maybeshewillの2nd。いわゆるポストロック的なものを聴くのは久しぶり。上手くレビューできるかどうか?
いわゆるハードなギターと自在なリズムを刻みながら緩やかに展開していくという、ポストロックとしてはもっとも基本的なフォーマットのサウンドだといえる。また、感情を揺さぶるメロディーライン、叙情性も持ち合わせているところから、Mogwai,Explosion In The SkyやSaxon Shoreあたりの音を彷彿とさせるところもある。
こういったサウンドを構築する際に、キーポイントとなるのは「ギターの表現力」だと思う。激情と繊細という両極ではなくて、その間の揺れをどれだけギターで描くことができるのか。
前作と比べると若干メタリックな要素が増えたように思うが、これがこのバンドにとっての突破口になったのではないかと思う。というのは、激情ポストロックを標榜しながら、どこか慎重というか遠慮がちにも見られた1stに比べると、今作の方が一曲一曲がよりダイレクトに爆発的に伝わってくるからだ。これまでの「もどかしさ」を解消できていると思う。このギターの「思い切った」感じが、バンドサウンドの見事なケミストリーを起こしたと言っていい。
この重厚なギターサウンドが、まさにバンドをのたうちながら破壊を繰り返していくような「怪物」へと変貌させたのだと思う。時に煽動したり、聞き手の横っ面をひっぱたいたりしながら暴力的に高揚感へと向かっていく様は聴いていてなかなか心地よい。
ヘヴィーなリフが炸裂するHow To Have Sex With A Ghostの後に リーディングをフィーチャーしたOur History Will Be What We Make Of It を持ってくるなど緩急の付け所も絶妙で、そういうところも確実に進歩を見せている。「覚醒の2nd」、そう呼んでもいいだろう。
おすすめ度★★★★(30/07/09)
Myspace