Hombre Lobo: 12 Songs of Desire/Eels | Surf’s-Up

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 Eels通算7作目となるアルバム。前作「Blinking Lights and Other Revelations」は2枚組・33曲の大作だったが、今作は12曲というややタイトな構成。前作の圧倒的な量については賛否あったが、個人的には聴き応えがあり、その底なし感がかえって心地よく感じられた。


 それから4年ぶりとなるこの新作であるが、演奏もタイトで少しヤスリがかったようなざらついた以前のEelsサウンドが復活している。


 のっけからブルージーなPrizefighterで幕を開け、メランコリックなThat Look You Gave That Guy、タイトなロックンロールナンバーLilac Breezeと様々なタイプの楽曲が混在している。


 個人的には、やはり前作の流れをくんだメランコリックなナンバーが好きなんだけど、ベストソングはBeginner's luck。思いっきりはっちゃけているポップな曲である。これは今までに聴いたことのないEelsである。ストレートでありながら、どこかアクの強いところもあり、そのバランス感がなんともかっこいい。


 非常に粒ぞろいの12曲。そして、あっという間に終わってしまう。少しまとまりすぎの感もあるが、当然またすぐ2枚組のアルバムなんて少々無理な話だ。時代が移り変わっていく中でも、自分のスタイルを持っている人は素晴らしい作品を生み出す。Eelsももちろんその一人であることをこのアルバムは十分に証明してくれるだろう。


 タイトルの「オンブレ・ロボ」はスペイン語で狼男のこと。どこか永遠の孤独を思わせるタイトルだ。どこかで人と交わりにくくさせてしまう己自身のいびつさ、不器用さみたいなイメージも湧いてくる。そこからわき出る思いみたいなものがこのアルバムには集約されているのではないか。聴き終えた後にそんな余韻が残る。



 おすすめ度★★★★(10/07/09)