曽我部恵一BAND、待望のセカンド。全ての曲が一発録り。じっくり作品を作っていくことよりも、今の自分たちをどれだけリアルにスイートに表現するかということに命をかけるソカバン。その速度感がめちゃめちゃロックンロールなのである。爽快なのである。
大傑作「キラキラ!」から変わったところはほとんどない。強いて言えば、ひたすらアッパーだった楽曲群が少し落ち着いてきたように思えるところ。例えばシングルとなった「ほし」も少しシフトダウンして、より切ない気持ちを歌おうとしている。また、「東京ディズニーランド」では、家族でディズニーランドに出かけて遊ぶということを、尊い瞬間として優しいタッチで描いている。
こんな調子で、今回も前作同様全てが名曲と言えるくらい素晴らしい歌が詰め込まれている。ポケットに忍ばせたくなる音楽である。
ただ、一口に「変わらない」というが、これはソカバンにとっては大きな価値観だと思う。つまり変わらないと言うよりは「変わりようがない」ということだ。生活のきらめきをコラージュし、曽我部流パワーポップへと昇華させること。これが、ソカバンにとって全てなのだと思う。全てである故に変わるはずがないのだ。
最後に一つだけ、アルバムのラストを飾る「永い夜」について。これはソカバンの中で一番熱い名曲かもしれない。
戦争はなくならない、悪いこともなくならない、自由だって手に入らない。しかもそれらは、僕らの生活の一部となっている。だけど決して歌は止むことがない。つまりどんなに悲しい現実を目の前にしても、希望や夢は絶対に潰えないということなのだろう。どんな爆弾を持ってしても、破壊することはできない。これまで、ラブソングや家族愛という形で表現されてきた感情が、ここではより直接的にあふれ出している。この「勇気」こそがソカバンなのだ。
おすすめ度★★★★★(18/06/09)