UKはレスター出身、Kyteの2nd。平均年齢が21歳とのことで、現在のシーンではそう珍しいことではないが、彼らの作り出す音が醸し出す「貫禄」を考えると、相当に若いように思える。つまりは、とても20そこそこの若者が作り出したとは思えないほどの壮大なサウンドスケープがこのアルバムで展開されているのだ。
そのスタイルから、よくシガー・ロスやレディオヘッドが引き合いに出される。だが、共通点もあるが本質は全く違うところにあると思う。エレクトロニカ、無機質なビート、そこで展開される儚い歌声は目新しい物でなくても、壮大且つ幽玄とした美の世界を作り出している。それは、今のシガー・ロスにもレディオヘッドにもないものだ。
カテゴライズしようとするなら、ポストロックまたは最近よく言われる「ニューゲイザー」というところにいるのかもしれない。しかしながら、若干飽和気味となってきたジャンルの中でも彼らの存在感は際だっているように感じる。つまりは、自分たちのサウンドで確固とした自己主張ができているからだ。なぜ、今この音を鳴らすのかという必然性を持って響いてくるからだ。
1stから変化したなと思う点は、リズムがより全面に出てきたところだ。メロディーよりもリズムの「美しさ」がより強調されているように感じる。ただ、その分メロディーがおろそかになっているかというとそんなことはなく、そのシンプルさがリズムと絶妙な相性を見せている。
シンセなのかもしれないが、グロッケンぽい音がよく使われていて、それが曲に独特の緊張感を与えている。常に張りつめたような中で、感情を爆発させるのではなく、想いを淡々と告白してゆく。それは懺悔のようにも聞こえるし、祈りのようにも聞こえる。
ただそれは、そうすることで苦痛から逃れようとするのではなく、むしろ痛みを抱きしめようとする彼らの意志の現れだろう。1stに比べるとそういう意志や主張が力強く感じられるようになった。だからこそ、うわべだけではない内包している真の美しさを見せることができるようになったのだと思う。
おすすめ度★★★★(03/05/09)