The View の2nd。オーウェン・モリスのプロデュースを受けた今作は、野心というか彼らの音楽性の幅広さを見せつけるような作品である。
1stは若々しさあふれるロックンロールと瑞々しくキャッチーなメロディーでグイグイと押していく最高のアルバムだった。ワイルドでありながら、どこか繊細で切ない。そういう二律背反の魅力が絶妙なバランスで同居している、素晴らしいアルバムだった。
新作でも、青春の初期衝動全開のロックンロールは健在。というか切れ味は更に増した印象を受ける。シングルの5Rebbeccasはサウンドのキャッチーさはもちろんのこと、歌詞が素晴らしい。誰もが一度は感じる大切なものを失う感覚を感傷的に描くのではなく、あえて向こう側へと突き進もうとすることで気持ちを純化させていく若者のリアルな姿が描かれている。
ただ、アルバム全体を見渡すと、こういうロックンロールナンバーに焦点を置いたアルバムではないことがわかる。冒頭述べたように、新たなタイプの曲が実に個性的で強烈な印象を与えるのだ。
例えばUnexpected、Distant Doubloonなどストリングスの入った曲があるが、単に味付けとして加えた程度ではなく、主導的に機能している。また、この2曲もそれぞれタイプが違って、前者はドラマチックに展開する叙情的なナンバーで、後者はランディー・ニューマンのようなノスタルジックなテイストを醸し出している。
個人的に一番度肝を抜かれたのがOne Off Pretender。ここではなんとラップに挑戦。サビこそ王道のロックンロールであるが、この曲だけ聴いてThe Viewだと判別するのは不可能だろう。
それ以外にも様々な挑戦が見られ、バンド自体が目覚ましい「成長」を遂げていることはわかる。彼らの音楽性が非常に幅広いことはわかった。ただ、これらの冒険が若干浮き上がって見えてしまうことも事実である。一つ一つのクオリティーは高いが、ベクトルの方向に少々乱れがあるような印象を受けてしまうのだ。
方向がしっかり定まっていたら、きっととんでもないアルバムになっていただろう。でも、やはり2作目にしてこれだけのものを作ったことはすごいと思う。
おすすめ度★★★★(15/02/09)