The Cure13作目のアルバム。
世代的にいうと、The Cureは「Disintegrasion」あたりはバリバリリアルタイムなんだけど、実はあまり聴いたことがない。こんなことを言っては何だが、ビジュアル的にダメでした。つまりはロバスミ。真の「聴かず嫌い」というか。
そんな自分ですが、(テレビでだけど)フジロックでの映像を見て、The Cureへの興味がわいてきたんです。かっこいいじゃないかと。そして、この新作。これが実にいい!
オープニング「Underneath The Stars」のウィンドウチャイムと耽美なギターイントロで幕を開けると、そこからはまさにCureワールド。いわゆるニューウェーヴ・ポストパンクだと言えなくはないが、それだけでくくることのできない奔放で美しい音楽が奏でられている。例えば「The Only One」はドリーミーなギタポ。でも、ロバスミのヴォーカルはいつでも余裕が無く必死に歌っている。そのアンバランスさが不思議な味わいを生む佳曲だ。「Freakshow」はタイトなビートとメロディーに、うねるギターがかっこいい、パンキッシュな1曲。「Real Snow White」はダークながら中盤でエモーショナルにメロディーが展開していく、これまたたまらない1曲。「Switch」では疾走するギターとたたみかけるようなロバスミのヴォーカリゼーションが絶妙なバランスを保っている。
アグレッシヴさと繊細さが同居している不思議なロックサウンド。そして、どこか現実感がない。でも、まるっきり非現実というわけではなくて、聴く人の主観によってどちらにでも転びそうなところがある。そういった聴き手の感性を揺さぶるような力を持っているのはすごいと思う。
このアルバムのブックレットに添えられたゴッホの言葉
”私はどうなのかと言えば、何一つ確かに知っていることなど無い
けれど星々の姿を眺めていると、私は夢を見ることができる”
ロバスミが、どういう意図を持ってこの言葉を借りたのか、僕にはわかりそうでわからない。
ただ一つわかるのは、このアルバムがまぎれもなく現実に生み出されたことであり、極彩色の夢のように美しいものだということ。
そして、今までごめんなさい・・・。心を入れ替えてこれからは聴きます。
おすすめ度★★★★☆(12/11/08)
Underneath The Stars
The Only One
Freakshow
Real Snow White
Switch