Snow Patrolのニューアルバム。前作「Eyes Open」は売れに売れ,今やUKを代表するスタジアム・ロックバンドとなった。「スタジアム・ロック」と書くとマイナスなイメージを抱く方もいるかもしれないが、こういうバンドには多くの人々に届けようと骨身を削りながら真摯に音楽と向き合っている人が多い。Snow Patrolもまさにそうだと思う。
若干時代錯誤かとも思えるくらいスケールの大きいメロディー、壮大なアレンジは前作以上。Embraceあたりを思わせるシンガロングナンバーもあり、まだまだ成長を続けているバンドの勢いを感じる。プロデュースはジャックナイフ・リー。メロディーの切れ味を損なわない堅実な仕事をここでもしっかりとこなしている。
楽曲の屋台骨は、ここに来て更に強靱さを増したというか、ボトムのしっかりしたサウンドを構築している。また、その中にもアコースティックな楽曲が増え、時々メランコリックな余韻を残しつつアルバムは進んでいく。
全体的な印象としては優秀なアルバムだとは思う。しかしながら、聴き終わった後に残るものがあまりないというか、あまりにもさっぱりとした味わいである。何が悪いというのではないけど、じゃあ何がすごいのと聞かれても答えられない。全体的なスケールアップを果たしていても、結果として聴き手を引きずり込むようなパワーには欠けているような気がするのだ。いい作品だけど、「絶対これがいい」というところまではいかないような、そんなもどかしさが。
最終曲「The Lightning Strike 」の組曲的アプローチだけが唯一の冒険だったかなと思うが、そこでもっとカオティックな展開を見せたらおもしろかったんじゃないかと思う。
おすすめ度★★★(11/11/08)