The Stillsの3rd。1stがむちゃくちゃ好きな自分にとっては、前作の音は正直がっかりした。ニューウェーブ色を強く含みながらも、その奥底に見える情念の炎を揺らしながら高揚していくギターロック。そんなところが大好きだったのだが、セカンドではそのよかった部分がバッサリ切り捨てられ、新たなエッセンスも大振りが目立ち、意欲だけが空回りしたような残念な結果に終わった。
レーベルも移籍し、新たな環境をバックに制作された3rd。メロディー的には、1stの頃の良さが少し戻ってきたような感がある。ギターロック的切なさを含んだメロディーが随所に見られるようになった。
曲ごとに見ていくと2曲目「Snow In California」はコールドプレイやスノパトに近いエモーショナルな美メロナンバー。かと思えば3曲目「Snakecharming The Masses」はアフロチックなシンプルなビートが特徴的なナンバー。また、1stの頃を思わせる熱情的なロックナンバー「Being Here」もあって、なかなかバラエティーに富んだ内容。やや分散的な印象は否めないが、このバンドが幅広い音楽性を持っていて、今後方向性を定めていけば次の壁をブレイクスルーできるという確信を持てる内容だと思う。
僕の中ではThe StillsはEditorsなんかと並んで、情念をクールに表現できるバンドという位置づけをしていた。素人ながらあえて言うと、やはりもっと直情的に鳴らした方がインパクトがあると思う。1stにこだわる悪しきファンの戯れ言です。
おすすめ度★★★☆(01/11/08)
Being Here
Snakecharming The Masses