ソウルフラワー、3年ぶりの新作。最近はすっかりアルバムリリースの間隔が長くなってきたが、分派の活動で忙しいのでしょうね。それでも、昔からのファンとしては、やっぱり本流はソウルフラワーユニオンで、気合いの入ったところを見せてもらいたいのが本音。その本音に答えるように、素晴らしいアルバムを届けてくれた。
オープニングは「月光ファンファーレ 」。まさにソウルフラワー流進軍歌、ともいうべき1曲。この曲から宴が始まるのかと思うが、今作では今までとはちょっと勝手が違う。
2曲目「愛の総動員」、めちゃくちゃ好きなナンバーだ。ブラスセクションの入り方が、「Crossbreed Park」時のニューエスト・モデル(ソウルフラワーの前身バンド)を思わせる軽快なニューオリンズ・ファンクナンバー。こういうのが聴きたかったんだ!!間奏のピアノも最高。
3曲目「海へ行く」。シングルだが、これもまた名曲。これはまさにソウルフラワーなりの叙情的なナンバー。ソウルフラワーになってから、こういう曲は意外に少ない。そう、こういう普遍的で胸打つようなナンバーが聴きたかった。
という感じで、自分が今まで聴きたいなと思っていたタイプの曲が多くて、ホクホクしてしまう。その後もスライドギターが気持ちいい「道草節」や、エキゾチックで壮大なメロディの「スイミング・プール」、アイリッシュトラッド風の哀愁あふれる「名もなき惑星」など、とにかく名曲揃い。喜怒哀楽を余すところなく表現してしまう、いまのバンドの充実ぶりが伺える。これは決してテクニックを身につけたという類のものではなくて、彼らが紡ぎ出す歌の力がよりダイレクトにわかりやすく伝えられるようになった結果がもたらしたものだと思う。ともすれば、自分たちの趣味性に走りすぎて、リスナーとの距離が感じられるような時代があったが、今の彼らは完全にアジャストすることに成功している。決して、リスナーのウケをねらっているということではなく、いい意味で自分たちの音楽性の折り合いをつけられるようになったのだと思う。
そして従来の路線である、反戦・反権力の姿勢も忘れてはいない。そして遊び心も。それは、実際にアルバムを聴いて確かめてほしい。
はっきり言いましょう。彼らの最高傑作です!
おすすめ度★★★★☆(10/03/08)