Melodia/The Vines | Surf’s-Up

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 すっかり久しぶりな感じのするThe Vinesの4枚目。いろいろゴタゴタがあり、活動が順風満帆と行かなかったことが実に悔やまれるバンドだ。かつてのStone Rosesしかり、思わぬところでバンドが停止状態に陥ってしまうことで、良い状態を失ってしまうことはよくあることではあるが、その後、才能の断片にふれるたびに「もったいないな」という気分にさせられる。



 1曲目の「Get Out」の思い切りの良さ、2曲目「Manger」の重々しいビートに、切ないメロディーが乗っかっていく様を聴くと「The Vines完全復活!」と一瞬思う。



 しかし、2ndまであった狂気が宿った激情も、ため息が出るほど美しい叙情性も十分に感じられるかというと、そこまでは達していないように思う。かつての輝きを取り戻そうと気合いは感じられるが、バンドの一体感というかベクトルがまだ定まっていないようなところもある分、音から絶対的な強さが感じられない。



 ただ、相変わらず素晴らしいメロディーの曲が多いし、曲のまとまり具合や配置のバランスなどは向上しているように思う。だから期待してものとは違うかもしれないが、アルバムのフォルムとしては美しい作品に仕上がっている。なので、個人的にはよく聴くアルバムです。でも、昔からのファンの受けはどうなのだろうと。ここでまたバンドの活動が頓挫しないことを願っています。




おすすめ度★★★☆



He's A Rocker