ブルックリン出身の二人組、MGMT。音の魔術師、デイヴ・フリドマンによるプロデュースのファースト。
まず頭3曲が非常に濃密。それぞれが全く違うベクトルを向いている。ープニング「Time To Pretend」は歪んだシンセとポップなメロディーが印象的。まさにFlaming Lipsを想起させる。続く「Weekend Ways」は、泣きのヴォーカルが染みいる、70年代風スローナンバー。先ほどとは打って変わって直球勝負といったところ。そして3曲目「The Youth」ではメロディー構成はシンプルながら、重厚かつ万華鏡のごとく模様を変えるサウンドがダークな世界を描き出している。
この非常にインパクトの強い序盤に比べて、中盤は若干単調に感じられる。エレクトロなサウンドが基調になっているが、彼ら自身はこういうサウンドの方が手慣れているのだろう。この辺は実に安定して聞こえるというか、知識量の多さを感じさせる音使いなのだ。ただ個人的には、今こういう音に食傷気味なせいか、このアルバムの流れを切ってしまっているように聞こえるのだ。後半に向かってはまた大きく盛り返しを見せるだけに、そこが残念。
全体的に言うと、デイヴ・フリドマンのプロデュース作品の中では比較的ポップな方だと思う。メロディーのクオリティーも申し分なく、個性的なプロデューサーに時折見られる「俺色に染まれ」的現象も起きていない。ただ、個人的には甘美なサイケデリアを追求するのか、ダンサブルなエレクトロサウンドを深めていくのか、方向性をもう少し絞った方がいいと思う。「次」が異常に楽しみなバンド。
おすすめ度★★★☆(08/5/26)