The Colourful Life/Cajun Dance Party | Surf’s-Up

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かねてから評判だったCajun Dance Partyのファースト。初めて「amylase」を聴いたときのことを決して忘れはしない。疾走感のあるサウンドと、胸をわしづかみにするストリングスとメロディー。1回聴いただけで、口ずさめるようになり、虜になった。


やっと届けられたこのアルバム、簡単に言うと10代の抱えるイノセンスを奇跡のような言葉とメロディーで紡いだ作品となっている。


個人的に魅力を感じるのは、直情的な「The Next Untouchable」。10代の恋がもたらす、もどかしさややるせなさが見事に表現されている。


そして、「Amylase」。抽象的な表現を多用しながら、自分の置かれている状況に対する焦燥感を見事に描いている。「このゲームを繰り返すまい/さもなければ/これは決着がつかないチェスの試合になってしまう/僕は君の駒を取り/君は僕の駒を奪う/ステイルメイトで/僕らは時間を無駄にしてしまうことになるから」10代で、こんな表現ができるのかと驚いてしまう。


全編を貫いているのは、壊れそうな自分とどうやって向き合っていくかという自己との闘争。もちろん、この世代なら誰もが経験していることだろうし、そのモチーフにいささかの新鮮さもない。しかし、それをこれほどまでにイノセンスに表現できるバンドがどれだけいただろうか?


この「若さ」と才能という「奇跡」が起こすマジックは、はまると実に見事だ。ただ、その魔法のかかる確率が高いとは言えない。曲によって歴然とした差があるように見える。また、個人的にはキーボードの音が時々耳に触ることがある。キュートではあるんだけど、エッジをもっと立てたサウンドの方がより彼らの主張を伝えられることができるんじゃないだろうか?


正直、安定はしていないが、そこも一つの魅力なのだろう。まだまだ伸びる気もするし、もうセカンドは作り終えたというから、楽しみに待ちたい。


おすすめ度★★★★(4/30/08)


Amylase