Arctic Monkeysのアレックス・ターナーが、The Rascalsのマイルズ・ケインと組んだユニット、The Last Shadow Puppetsの1st。ハイペースでリリースを続けてきたアレックスの趣味生が強い息抜きバンドだと最初は思っていた。が、そう片づけてしまうことのできない気合いの入った力作となっている。
リバーブをガンガンに効かせたサウンドは、まさに60年代ブリティッシュロックそのもの。それでいて、過剰にドラマチックなストリングスやベタな歌メロが奇妙に絡んでくる。結果的にはどこかで聴いたことがありそうで、実際はなかなか無い個性的なアルバムに仕上がっている。
ちょっとした西部劇のサントラのよう。歌詞が分からなくても、サウンドが見事にストーリーを描いている。音そのものがドラマを作る力が半端ではない。もちろんそれはArctic Monkeys
で証明済みであるが。それはまた、アレックス・ターナーの心象風景とも重なる。日々の生活レベルでの感情のすれ違いや交わり、そこで起こるドラマをアレックスはどこかで醒めた視点で伝えようとする。そういう一種のユーモア感覚がもたらす「切れ味」はここでも冴えわたっている。
おすすめ度★★★★(4/28/08)